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スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング(森沢洋介さん)のレビュー


shunkanshuffle

 

今回は前回の記事で紹介した「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」の次の本、「スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング」のレビューです。

 

本書の巻末を何気無く見てみると、2007年に初版発行となっていますね。

 

もう10年近く前からあるわけですが、会話力を大きく伸ばせる教材として、確固たる地位を守り続けています。

 

それはつまり、 似たような教材(メソッド)がなかったということであり、またメソッドの完成度が高いということの表れだとも言えるでしょう。

 

さて今回の瞬間英作文トレーニング2作目ですが、前作とどうつながっているのか?どこが違うのか?レビューをしていきます。

 

教材著者 森沢洋介さんとは?

前記事にも書きましたが改めて略歴紹介します。

 

■森沢洋介さん

英語学習雑誌に必ずと言っていいほど登場する人。

著書「瞬間英作文」シリーズは非常に有名。

1958年神戸生まれ。青山学院大学フランス文学科中退。
大学入学後、独自のメソッドで、日本から出ることなく英語を覚える。アイルランドで旅行業に従事した経験あり。TOEIC985点。
現在は千葉県で「六ツ野英語教室」を主催。

英語上達完全マップ Webサイト

http://mutuno.o.oo7.jp/

 

コンセプト・メソッド

本教材は、前作の続編というより、前作と一体で瞬間英作文トレーニングという大きなメソッドを構成するものです。

ですから前作とコンセプトは共通ですが改めて書いておきます。

 

英語を話せるようになるには、「英語の基本文型」を自在に使いこなして英文を作りだす能力、いわば「英作文回路」を自分のなかに作る必要があります。

それには簡単な英文をスピーディーにかつ大量に作るトレーニング、すなわち「瞬間英作文」が極めて有効なのです。

 

本教材は、この瞬間英作文トレーニングの第二ステージに当たる内容となっています。(前作「どんどん話すための〜」は第一ステージ。)

 

教材の概要

■本編(テキスト)

だいたいB6サイズ、245ページ。

 

■CD

CD1・・・72分10秒。Training1の問題1〜40を収録。

CD2・・・68分34秒。Training1の問題41〜50、Training2の全問題を収録。

 

教材の詳細

まず、この本を買おうとしている人にとって大切なことがあります。

 

森沢氏が考案した瞬間英作文トレーニングという体系化されたメソッドは第一、第二、第三ステージで構成されており、前作「どんどん話すための〜」は第一ステージ、本作「スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング」は第二ステージにあたるということです。

つまり前作のトレーニングが完成してから本作に入る前提になっています。

 

本書を買おうとしている人はこのことをぜひ知っておいて欲しいです。

トレーニングの効果の上がり方に影響します。

 

さて、これから本書の詳細を見ていきます。

 

瞬間英作文トレーニングとは(p.5〜p.12 )

この部分は、前作「どんどん話すための〜」と共通ですが改めて内容を箇条書きにすると次のようになります。

・多くの人が、英語を「読む」、「聞く」に不自由しないのに「話す」となるとダメな理由

・自由自在に英語を話す能力は、簡単な英語を速くたくさん作る「瞬間英作文トレーニング」が有効である。

・瞬間英作文トレーニングの必要性がこれまで見過ごされてきた理由

・自然な英会話をするのに必要な能力をつける「瞬間英作文トレーニング」の特徴

・学校教育や受験勉強における英語学習と、「瞬間英作文トレーニング」との決定的な違い

・瞬間英作文トレーニングを通して「英作文回路」を手に入れる過程(第一~第三ステージに分かれる)

・瞬間英作文トレーニング 第一ステージの内容

・瞬間英作文トレーニング 第二ステージの内容

・瞬間英作文トレーニング 第三ステージの内容

・よくある「フレーズ暗記系教材」で挫折してしまう人が多い理由

 

ここから先は具体的なトレーニングパートに入ります。

 

文型シャッフルトレーニング(p.13〜p.122) 

■トレーニングの指針
このパートでは、瞬間英作文第二ステージとして、まず文型シャッフルトレーニングを行います。

前作で行った第一ステージは、基礎固めということで、文型ごとに配列された練習問題を使って英作文の練習をしました。これはスポーツで言えばパス、ドリブル、シュートなどを個別に反復練習するのと同じです。

 

今回は、次々と異なる文型が現れる英作文を行います。
これはスポーツの例えで言えばゲーム形式に近い形の練習です。プレーの流れの中で、自分の持っている技術を必要に応じて瞬時に引き出してつなぎ合わせる、応用的な練習になります。

このトレーニングに取り組むには、第一ステージが終わって個々の文型がしっかり身についていることが前提です。

■具体的なトレーニング手順
テキストの日本文を見て、瞬時から数秒のうちに英文を作る練習であることは、前作の第一ステージトレーニングと変わりません。
前作と異なるのは、トレーニングサイクルの回し方です。
本書では、第一ステージで自分に仕込んだ文型へのアクセス能力を重点的に磨くことが主要目的であるため、それに適した形でサイクル回しをする方法が解説されています。

 
この「文型シャッフルトレーニング」では、文型がランダムに現れる500個の問題で瞬間英作文トレーニングをします。
文型がシャッフルされており、最初からまったく手加減はありません。
ちょっと例をあげると(英文は伏せさせていただきます)、次のような流れです。

 

「誰がこれを料理したの?」

・・・疑問詞主語、S+V+O

 

「僕は昨日図書館に行った。」

・・・一般動詞の過去形、S+V

 

「彼はどこに行ったらよいのか知ってますか?」

・・・疑問詞+to不定詞、S+V+O

「あなた方はこの国にどのくらい住んでいるのですか?」

・・・現在完了、S+V

このように時制、平叙文/疑問文、自動詞/他動詞など異なる文型の問題に次々に答えていきます。

ただし文型も単語も第一ステージと同じレベルなので、第一ステージで個々の文型をしっかり体内に取り込めていれば、あとはそれらの文型にいかに速くアクセスできるか?のみがカギとなります。本パートではこの文型へのアクセス能力をひたすら磨き上げます。

 

CDは、前作と同じく日本文→ポーズ→英文の順で収録されています。

テキストでのサイクル回しで実力をつけてからCDでの練習を始めたほうが効率的である点も、前作と同じです。

 

文型コンビネーショントレーニング(p.123~p.235)

ここはさらに発展的なトレーニングになります。

前のパートではシャッフルされた文型が次々と現れるのに反応して、文型へのアクセス能力を伸ばす訓練でした。

このコンビネーション編では、一つの文の中に、複数の文型が結合されている英文を作ります。

 

使う文型そのものは前のトレーニングと同じく中学英語プラスアルファの基本的レベルです。しかしここでは、それらを組み合わせてかなり長い文を作る練習をします。そうすることで、会話力のみならず読解力、リスニング能力までもが引き上げられます

普通の会話では2つ以上のセンテンスに区切って話すようなことをあえて1つの文にするという、わざと負荷をかけるトレーニングをすることで、文型の引き出し・結合能力を極限まで高めるわけです。

 

実際の問題はたとえばこんなものです。

「僕は去年日本にやってきたアメリカ人の女の子に日本語を教えているけれども、彼女が日本語を覚えるのにどのくらいかかるか僕にはわからない。」

 

主語・動詞の関係になっているものが4つもあり、ずいぶん複雑になった印象ですね。

このコンビネーション編では、上記のようにわざと文を長くしているような問題に次々と答えていきます。

 

このコンビネーション編は次のような構成の二つのパートになっています。

Part1:中学二年生レベル 200問

Part2:中学校全学年レベル プラスアルファ 300問

 

CDについてですが、さすがにこのコンビネーショントレーニングはCD音声を聴いて英文を作るのは困難だろう(音声から英作文できるレベルの人は、すでにこの教材が必要でないとのこと)ということで、CDには英文のみが収録されています。それほど長く複雑な文ということです。

ですのでCDは発音・イントネーション確認用として使います。(ネイティブスピーカー音声)

 

あとがきにかえて 本書を使う学習者へのいくつかのアドバイス

瞬間英作文と音読の関係、英作文回路完成に必要な学習量、基本の大切さについて森沢氏が解説しています。

ここも非常に参考になるので、雑談ではなく教材の一部と思ってしっかり読んだほうが良い部分です。

特に森沢氏がフランス語を学習したときの体験に基づいて、瞬間英作文と音読を並行学習することの重要性について書かれている部分はとても参考になります。

 

「スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング」の評価

■教材のコンセプト、メソッドは明確か?

評価:◎

明確です。前作と合わせて、なぜこのトレーニングをするのか、このトレーニングでどういう効果が得られるのかという理由も解説されています。

さらに「この教材ではできないこと」も書かれているので信頼できます。

■教材クオリティ、使いやすさは十分か?

評価:○

前作と同じく問題ありません。

■教材は実践できる内容か?続けられるか?

評価:△

○○日以内に完了するなどの時間軸的な制限はないので個人のペースで実践すれば大丈夫です。

ただし本教材を実践するには、前作「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」を終えていること(または同等レベルの英作文回路を持っている人)が対象となります。

また何度もサイクルを回すのが前提である上に、後半のコンビネーショントレーニングはかなりの応用力が問われるので、学習者自身の継続力が重要になります。

 

■教材価格は妥当か?

本来は前作とセットで一つの教材と見たほうがいいかもしれませんが、それでも圧倒的にコスパが高いといえるでしょう。

 

■教材制作者は信頼できるか

森沢氏は、日本を出ずに独学で英語を身につけるという目標をずっと実践してきた人なので、その経験にもとづい学習法指南には説得力があります。

やたらに「楽をして」「努力せず」「たった一日○○分で~」のような甘い言葉で釣って教材を売ろうとするような人ではないのでかえって信頼できます。

 

教材のメリット/デメリット、向いている人/向いていない人

■デメリット
・ネイティブフレーズ暗記系の教材とは異なり、日常生活では話す機会がなさそうなセンテンスの練習も多い。

・コンビネーション編では学習負荷をあえて高くするために、会話文としての自然さを犠牲にしている部分がある。自然な会話を身につけたい人も、ここは割り切る必要がある。

・本教材では、語彙力の向上は期待できない(教材コンセプトとして意図的に語彙を制限している)。
 
■メリット
・文型をシャッフルしたトレーニングのため、日本文から即座に適切な文型を探し出す文型へのアクセス能力が身につく。
・あえて負荷を高めたコンビネーショントレーニングにより、読解力やリスニング力にも好影響が期待できる。

■向いていない人
・前作「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」の完成レベルに至っていない人(基本文型が身についていない人)
・何度もサイクルを回すトレーニングに耐えられない人。

・通常の会話に出ないセンテンスを練習するのが受け入れられない人。

■向いている人
・自分の英会話力に不満を感じているほとんどすべての人。特に、リスニング、リーディングに不自由がないのに、話そうとすると英語が出てこない人。
・独学ではもう英会話力は伸びないかな、英会話学校へ行ったり留学したりしないとダメかなと考え始めている人。
・TOEICの文法問題を秒殺したい人。文法や理屈を考えて答えるのではなく、直感とリズムで瞬時に正解を選べるようになりたい人。

 

総評

「スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング」の総合評価・・・評価A(優れている教材)

 

「読む、聞くはそれなりにできるけど話すとなるとダメ。」

「フレーズ集をやってみたけど、いざ会話するとなると、覚えているはずのフレーズがまったく出てこない。」

という人(英会話を身につけたい人のほとんどがそうだと思うのですが)はこの瞬間英作文シリーズをやるといいでしょう。

 

本書は、前作「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」とセットで、森沢氏が体系化した瞬間英作文トレーニングというメソッドを構成する教材です。

 

教材のコンセプト、メリットなどはここまで書いてきたとおりなのですが、森沢氏の学習理論の良い点は、「短時間で(努力せず)英語を身につけよう/身につけられるという考え方を捨てる」ことを前提としている点だと私は思います。

 

「努力せず(自分でアウトプットするワークをせず)短期間で英語をマスターできる」と謳う教材のほうが大衆ウケして売れるのですが、森沢氏は耳障りの良いことを吹聴して教材を売りさばこうという意図がないようです。むしろ安易な考え方で英語を身につけようと思っているなら考えなおしたほうがいいよ、という方向です。(森沢氏の英語学習理論全体については、「英語上達完全マップ」を読んでいただくと良いです。)

 

森沢氏の英語学習体系が学習者にとってどんなメリットがあるかというと、個々のトレーニングにおいて「集中して習得する技術」と「そこでは習得しなくても良い技術」が明確に分けられている点です。「一つのメソッドであれもこれもすべてOK!」というよりもよほど信頼できます。

 

瞬間英作文トレーニングも、そのように「習得できる(すべき)技術」と「習得を狙わない技術」が明確にされており、さらに「習得すべき技術」の部分も基礎編、応用編と順序立てされているので、教材のゴール地点までの道筋が明確なので、「このトレーニングをやって何になるんだろう?」という不安を感じることもなく、集中して取り組めるでしょう。

 

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