この記事では、英語教材「ゼロから驚くほど話せる英会話『音まね』レッスン」のレビューを書いています。
Amazon「外国語学習法・旅行会話集部門」で売上1位になった教材だそうです(2011/08/05-2011/08/15調べ)。
「音まね」とは?音読やリピーティングとは違うの?という関心がわいてきますね。
ではレビューをしていきます。
Contents
著者は、もと専業主婦。
教材著者・川本佐奈恵(かわもと さなえ)さんの略歴を紹介します。
専業主婦だった32歳のときに英語習得を決意。
英語力ゼロからのスタートにもかかわらずネイティブ並みの実力をつけ、現在では英会話スクールEnglish Timeと英会話カフェSunday English Timeを経営し、自らも教壇に立つ。
Tokyo Free Guideの一員として海外からの旅行客に対する通訳やガイドをボランティアで行う。
またブログの連載や、メルマガ『NHKビジネス英語を120%利用』を発行するなど様々な形で英語の楽しい勉強法を発信し続けている。
(本書カバーより抜粋編集)
今現在どんなことを発信しているんだろうと思ってブログを見に行ったのですが、更新が止まっているようでした。ちょっと残念。
教材の概要
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教材は本体とCDで構成されています。
■本体(テキスト)
B6サイズ、193ページ。
コンパクトで使いやすい大きさです。
テキスト前半の解説部分はけっこう細かい字でビッシリ書かれていますが、後半のトレーニング部分は適度に見やすいレイアウトになっています。丸めのフォントや動物の挿絵など、親しみやすい雰囲気です。
■CD
1枚、約69分。
音まねレッスン60回分が収録されています。
1レッスンが1分前後なのでスキマ時間を使って学習しやすいです。
学習内容の詳細
本教材の学習内容を解説していきます。
音まねとは?
文字を読み上げたり自分流に話すのではなく、「ネイティブの英語」を「ネイティブになりきって」、「そっくりそのまま同じようにまねる」ことです。
Part1 話せるルール 4
本書前半(p.63まで)のPart1は、マインド論と学習ノウハウ解説です。
著者・川本さんが32歳から英語学習を始めて話せるようになった経験から、「英語が話せるようになるための4つのルール」について解説されています。
要点は以下です。
- かんたんな言い回しを徹底的に練習する
- 口から英語がスムーズに出るようになってから文法を勉強すると効果的
- 覚えることを目的にしない
- 「音まね」の具体的方法
それほどインパクトのある内容は書かれていませんでした。センセーショナルな(裏づけのない)ノウハウを書いたお騒がせ教材ではなかったので、ある意味安心しました。
上記4つ目で、なかなか滑らかにまねることができない文を言いやすくする工夫が書かれているのは良い点です。
Part2 「音まね」レッスン60
この部分が具体的なレッスンになっています。
日常英会話で必須のフレーズを使って音まね練習をします。やることは以下のとおりシンプルです。
1.英文と日本語訳をざっと確認。
2.テキストを見ずに繰り返しリスニング。音だけに集中する。
3.英文のあとのポーズ時間に、CD音声のまねをして繰り返す。
「音まね」のコツだけでなく、上達ぶりをチェックするための「音まねレベルチェック!」や、学習スケジュールを記入できる表もあるのは良い点です。継続して取り組めば必ず効果が上がるよ、という意図は伝わってきます。
テキスト左側ページは、英文と和訳。英文と和訳が分けて書かれているのは見やすくて良いです。
右側ページは、文によってカタカナが振られていたりいなかったり、ニュアンス解説があったりなかったり。スペースやコストの制約もあるとは思いますが、振るならすべてのセンテンスにカタカナを振って、ニュアンスは別途解説して欲しかったところ。
CDでは、レッスン中、BGMがずっと流れています。練習中にBGMの流れる英語教材は初めてかもしれません。
BGMを入れるメリットは良くわかりませんが、かすかな音量でさほど気になるものではないので、まあ良いかというところです。
文の内容は、以下のようにほんとうに初歩的なフレーズです。
- I'm ~
- When ~ ?
- Can I ~ ?
- ~, isn't it?(付加疑問)
1レッスン中に、センテンス6つ。
レッスンの中では短い文(3語程度)から長い文(15語程度)になっていきます。
やってみるとポーズの時間が短く、ネイティブと同じぐらいのスピードで繰り返さないと次の音声が始まってしまいます。
はじめは大変ですが、慣れてくるといいテンポでレッスンできるようになります。
(テンポの良さを意図しているのか、収録可能時間の制約等による大人の事情なのか定かではないですが・・・)
全部で60レッスン、420センテンスです。
1日5分・2レッスン目安で、1か月で1周。
みっちり毎日練習し、3ヶ月で3周すれば、ネイティブのスピードについていけるようになる!とのことです。
学習内容は以上になります。
「ゼロから驚くほど話せる英会話「音まね」レッスン」の評価
教材を独自視点で評価します。
明確な教材コンセプトがあるか?
本書は基本的には、音読教材です。つまりネイティブのしゃべり方をまねて繰り返し繰り返し話す練習をすることで、スピーキングとリスニングの基礎をつくるというコンセプトです。練習用のセンテンスとしては、日常英会話で使いそうな内容のセンテンスが使われています。
学習効果が期待できるか?
音読教材なので正しく練習すれば効果が出ることは確実です。ただし「分かっているセンテンスを英語らしく読むスキル(音声面スキル)」は得られますが、「いいたいことを英語にするスキル(英語運用力)」を習得するトレーニングは含まれていないので期待しないほうがいいでしょう。
また、各レッスンの前半3センテンスは3~5語程度の短いセンテンスなので、イントネーションを学ぶにはかえって難しいかも、と感じました。
実践可能な内容か?
声を出すトレーニングができる環境があれば実践できます。トレーニング効果を確認するためのレベルチェックリストは本書に掲載されていますが、自分の実際の発音を確認する手段(ボイスレコーダー)等があればより効果的に実践していけるでしょう。
気になる点、残念な点
日常英会話フレーズで発音練習する点は良いですが、センテンスごとの発音解説とニュアンス解説がどちらも中途半端になっている点が残念。
向いていない人
「ゼロから驚くほど話せる!」と本書タイトルに掲げられていますが、日本語から英語に直すトレーニングがないので、話せるようになるための教材とは考えないほうがいいです。
話せるようになるための教材を求めている方は瞬間英作文の教材か、日→英の方向でフレーズ練習できる教材を選びましょう。
◆瞬間英作文
◆日→英のフレーズ練習ができる教材
総評
「ゼロから驚くほど話せる英会話「音まね」レッスン」の総合評価・・・B評価(良い教材)
本教材はあくまで「英語らしい発音」を習得するための教材です。
上述しましたが、日本語文の朗読はないので瞬間英作文的なトレーニングはできません。リピーティング専用教材です。
短いセンテンスが多いのでオーバーラッピングやシャドーイングは難しいかもしれません。テキストなしで完全リピートできればクリアです。
「音まね」命の教材なので、カタカナをすべてのセンテンスに振ってほしかったなーというところ。
結局、CD音声を聴くところから、ネイティブスピードでネイティブっぽい発音で話すレベルまでの間を埋めるのは全部自分のがんばりだけということです。そこまで続けられるかどうかですね。
その点、「プライムイングリッシュ」はエライです。
価格がぜんぜん違うので充実度が違っていて当然ですが、すべてのセンテンスにカタカナが振られているし、スロースピードのリスニングパートもあります。また、発音とは別にニュアンス解説のスペースが確保されています。
まとめると
- 教材のコンセプトは理解できるし、学習内容はオーソドックス(特徴がない)。
- 日常英会話フレーズを使って学習できるのは良い点。
- 音声面スキル向上は期待できるが、話すための英語運用力向上は期待できない。
- 至れり尽くせりな(お値段高めの)英会話教材で目が肥えた人には、少し物足りない印象。
以上、「ゼロから驚くほど話せる英会話「音まね」レッスン」のレビューでした。
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