この記事では、英語書籍教材「くもんの中学英文法」を紹介します。
以前、デイビッド・セイン氏の「英会話の9割は中学英語で通用する」をレビューしましたが、本書は「中学英語そのもの」の教材です。
それではレビューしていきます。
※すでに中学英語を終えている人にとって本書が有用か?という観点でレビューします。
教材の概要
いつものレビューなら教材著者の紹介から入るんですが、本書は特に代表的な著者名が書かれていないので、教材の概要から。
基本情報を書いておきますね。
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(レビューには2001年9月20日初版第15刷のものを使用)
◆テキスト(本編)
A5サイズ、224ページ。
◆別冊テキスト「完全チェックテスト」
A5サイズ、48ページ。
◆CD
なし
学習内容の詳細
本書は、中学で必要とされる英文法のすべてを、きめ細かなステップで構成したものです。
テキスト本体の学習内容
「アルファベット」から始まり、先行詞をとらない関係代名詞と関係副詞まで学びます。
一部、高校英語の内容も「発展学習」として含んでいます。
一つの文法項目が見開きの中におさまっているので、ページをめくったり戻ったりせず学習できます。
レイアウトの統一性重視のため、解説のボリュームは少なめです。
また、細かな留意点はページ最下部の「NOTE」にまとめてあり、ページのメインスペースは例文を示すのに使っています。
例文を多めにすることで、用法を自然に理解できるようになっているのが特長です。
本書で網羅している文法項目は以下の通り。
2.動詞と助動詞
3.名詞と代名詞
4.冠詞と形容詞と副詞
5.文型・さまざまな文
6.比較表現
7.受け身
8.現在完了
9.句で表す
10.不定詞と動名詞と分詞
11.前置詞
12.接続詞
13.関係代名詞
14.付加疑問・間接疑問など
完全チェックテスト
知識確認用の練習問題集です。
本編の章に対応して、次のような問題が用意されています。
- 空欄に適切な語を入れる問題
- 与えられた語を並び替えて、日本文の意味を表す英文を作る問題
本書の内容は以上です。
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良い点/イマイチな点
- (イマイチな点)従来的な教科書なので、「実生活でこの英文を口にすることはないだろうな」と感じる例文が多いです。また、表現とニュアンスとの関係などは学べないので、会話表現を学ぶときにはまたやり直しになってしまいます。たとえば、実際にはニュアンスの異なる「will -」と「be going to -」が同じものとして書かれている等。
- (良い点)当たり前なのですが中学英語なので難しい単語が出てきません。また例文も、文型を構成するのに最低限必要な語だけでできている(3〜4語の文が多い)ので、文法事項だけにフォーカスできます。
- (良い点)勉強していてわからなくなったときに、戻って確認すべき(ステップバック)箇所が示されているのは親切。このあたりは、さすが「くもん」!という感じ。
向いている人/向いていない人
向いていない人:
- 「英会話をこれから学びたいけど、文法が不安なのでやり直したい」という人は、もうすこし会話の表現にこだわった文法書を選んだほうがいいです。「表現のための実践ロイヤル英文法」がおすすめ。
向いている人:
- 森沢洋介さんの「瞬間英作文」を実践している最中の人。「語彙」や「表現の適切さ、自然さ」は置いといて、中学英語範囲の文法事項をサッと見直したいと思ったときには便利かもしれません。
総評
「くもんの中学英文法」の総合評価・・・C評価(良い点もあるがおすすめしづらい教材)
本書は中学英語やりなおし教材として一定の評価を得ている教材です。
特定の文法項目に深く入り込まず、中学3年間の文法全体をバランスよく振り返ることができるように上手に整理されている点が評価されているんでしょう。
しかし英会話習得が目的の人にはあまり向いていないかな、と思いました。
日常生活で話すことのなさそうな例文を学ぶのは、ちょっとつらいですね。
それに、会話で気をつけるべき表現(had better ~ 等)がニュアンス面からの注意喚起なしで書かれているのも気になります。
英会話のための英文法を基礎からやるのであれば、バーダマン氏の「毎日の英文法」がおすすめです。フレーズ練習ができる教材構成になっているし、覚えた例文をそのまま会話に使えます。
TOEICのための英文法であれば、濱崎潤之輔先生の「英文法プラチナ講義」がいいでしょう。TOEIC文法問題や読解のために理解必須な「品詞」、「修飾語句」、「時制」等に重点を置いて解説されておりスコアアップに直結しています。
以上、「くもんの中学英文法」のレビューでした。
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