この記事では、有名な単語教材「DUO 3.0」を紹介します。
TOEIC教材ではない単語教材を当ブログで扱うのは初めてかもしれません。
有名な教材だし、高い評価を受けているようなのですが、中身はさてどうかな?ということで、いつものようにレビューしていきます。
Contents
教材著者の紹介
著者:鈴木陽一さん/江原昭博さん
たいていの英語教材の巻頭か巻末には、著者の略歴紹介欄があるのですが、本書DUO3.0には著者・鈴木陽一さん/江原昭博さんの略歴が掲載されていませんでした。ネットで調べてもよく分からないし・・・とりあえず置いておきます。
その他、本書は、米国大学教授をはじめとする15名のネイティブアドバイザーによるチェックがされているとのことです。
教材の概要
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本書の基本スペックは以下のとおりです。
■教材本体(テキスト)
なんとこの本には、ページ数が記載されていません。
索引はついているのですが、索引を使って語句を引くときは、見出し語番号で引くことになります。
B6サイズ、黒・青二色印刷。
本教材はテキストのみです。例文の音声CDは別売りとなっています。
学習内容の詳細
本書は、
・現代英語の重要単語1573個と熟語996個を560本の基本例文に凝縮
・さらに、派生語・関連語2204個をカバー
・全部でおよそ6000語の語彙レベル(中学基本語(I/my/do等)も含めて)
TOEICで言えば780点レベルまでカバーされるとのことです。
本書のメイン部分は、下の写真のように、見出し英文(例文)単位で構成されています。
見出し語、見出し語の品詞及び意味、派生語・関連語、同意語・反意後、見出し英文の和訳、発音記号、カタカナルビが収録されています。
推奨学習法は以下です。
STEP 1
①560本の見出し英文を、それぞれの単語・熟語の意味をしっかり理解しながら和訳する
②ネイティブのナレーションを聴いて日本語の意味が自然と浮かんでくるようになるまでリスニングを続ける
③日本語での意味をイメージしながら英文の音読を繰り返す
STEP 2
復習用CDを毎日2回ずつ聴くことを1ヶ月繰り返す
STEP 2-B
覚えた見出し語の関連語などを少しずつ覚え、基本重要後を関連性のあるものにまとめて覚えていく
CD別売りなのに、推奨学習法自体が、「CDありき」なのがツッコミどころです。
本書は560本の見出し英文を収録していますが、それらが45のセクションに分かれています(1セクションあたり10~12程度の見出し英文で構成)。そしてそれぞれのセクションに含まれる例文は、ある程度関連のあるシーンやテーマについての文になっています。
また、見出し英文は、「○○が○○である」、「□□が**をした」というような普通のセンテンスもあれば、1~2往復の会話もあります。センテンスの長さも、長いものでは30語近く、短いものでは7語程度、会話文だと10語以下というように、変化に富んだものになっています。
「DUO3.0」の評価
当ブログ独自視点で教材の評価を行っていきます。
教材コンセプトは明確になっているか?
本書のコンセプトは、日本の「いろは歌」をヒントに、560例文で標準レベルの単語集1冊分の単語+熟語集1冊分の熟語をマスターできる単語集を目指すというものです。
単語の重複のないように例文を作ったことで、例文数を560に抑え、効率的に単語・熟語を学べるようになっています。また、CDで例文を聴くときにも、見出し例文560本を60分で聴き取れるようになっており、効率的で質の高い単語学習ができる教材としてまとめられています。
学習対象者、学習期間、到達レベル等は明確になっているか?
特に学習対象者とは明記されていませんが、到達レベルについては、本書により対応できる範囲が以下のようになっています。
大学入試(偏差値) 58~65程度
英検 2級~準1級
TOEIC 600点~780点
TOEFL 500点~570点
大学入試といっても理系と文系とで求められるものは異なるし、TOEICの頻出単語と本書のカバー単語とは少しずれていたりするので上記の偏差値や点数は参考程度とは思いますが、少なくともある程度、中級以上の人が学習対象者のようです。
学習期間については、特に標準期間のようなものは想定されていません。
教材内容を実践できるか?
上にも書いたとおり、別売りCDがないと推奨学習法を実践できません。近年のTOEIC教材などは、無料ダウンロードで音声が入手できるものが多数あるのに(特急シリーズとか)。その点は残念です。
CDがあれば、例文のリスニングや音読で学習していくことは誰でも実践可能と思います。
CDも、60分で1周聴き終えるようになっているとのことなので、繰り返し聴くのに適しています。
CDを使わないとしたら、教材に書いてある例文を見て、発音記号を確認して、例文の意味をイメージしながら音読する・・・という学習をするわけですが、知らない単語が文中にいくつもあるようでは、かなりキツいと思われます。
まずはCDを入手することです。
効果が得られると期待できる内容になっているか?
単語単体よりも例文で学習するほうが覚えやすいと思うので、効果は期待できます。また、本書では単語の意味・用法・発音をすぐ参照することができるので、使い勝手が良く、効率的に学習できます。
ただし、他の人のレビュー等を読む限りでは、以下のような感想を持つ人もいるようです。
- 1つの例文に知らない単語が4つも5つもあるので、例文の意味が分からず、なかなか覚えられない
- 例文のイメージから単語の意味を思い出すのに時間がかかるため、試験等で困る
- カタカナルビは邪魔なだけ
- ネガティブな内容の例文が多く、繰り返し読むに堪えない
- 意訳的な和訳がされていて、英文と和訳との対応がわかりにくい
最も大きな問題は、少ない例文に大量の単語を詰め込んだことのデメリットが出てしまっていることでしょう。
そういう点においても、やはり中級者以上が本書の対象者と考えたほうが良いと思います。
また、私も、カタカナルビはなくてもいい派ですが、まぁ、あってもそれほど邪魔にはならないという感想です。
他の教材と比べて優位性はあるか?
例文のイメージを活用して単語を覚えるというメソッドに加えて、少なめの例文数で多くの単語・熟語をカバーするというシステマティックな単語集になっているところが優位であるといえるでしょう。
瞬間英作文シリーズ著者・森沢洋介氏も、
1つの例文中に複数のターゲット単語を散りばめた画期的な例文型単語集。・・・今のところDUOは他の追随を許さない孤高の風情。(英語上達完全マップより抜粋)
と評しています。
教材の品質、使い勝手等は問題ないか?
品質・使い勝手面で不便な点、便利な点を挙げると以下の様な感じです。
不便な点
・ページ数が振られていない。見出し例文の番号で管理するからあえてページを振っていないとのことだが、世間一般の常識としてはページを振ってあるほうが使いやすい。
・関連語や同義語/反義語が掲載されているのは、便利な場合もあるが、若干、紙面が雑然としてしまう感もある。
便利な点
・教材本体がコンパクトで良い。
・巻末の索引は、単語だけでなく熟語も引けるようになっているので使い勝手が良い。
教材に投入する費用や学習時間に見合う内容か?
これは微妙で、例えば学習者のレベルによっては、知らない単語が例文中に多すぎるため文のイメージをつかむのに時間がかかり、学習期間に見合う効果が得られない、という問題が起こる可能性もあります。そういう人にとっては、一つの例文の中に含まれるターゲット単語が1~2個に抑えられている教材を選んだほうが、短期間で語彙力を伸ばせるかもしれません。
中級以上の人なら、本書は高密度な学習ができるようになっているため、投入期間に見合う効果が得られる可能性は十分あると思います。
総評
「DUO 3.0」の総合評価・・・評価B(良い教材)
本書は、あらゆる面で無駄を排除して、効率よく単語を学べるようになっている教材だと思います。
気をつけたいのは、本書は例文に関する単語、発音、関連語、和訳などすべて掲載されているので、本書を眺めているだけですごく勉強したような気分になってしまうところです。
単語に限りませんが、アウトプットベースで学習をするように意識したほうがいいでしょう。
音読をする、例文をマル暗記する、和訳から英文を作る、など、少しでも能動的な要素の多い学習をすることをおすすめします。
ところで、TOEICの頻出単語を覚えるには、TOEIC専門の教材を使ったほうがいいのですが、よく知られているとおりTOEICは犯罪、戦争、不景気、災害、病気といったネガティブな話題が取り扱われません。なのでTOEICばかり勉強していると「本来の重要英単語を覚えられない」、「TOEICの世界から出ることができなくなる」という心配をする人もいるかもしれません。
そこへいくと、本書は、なぜかわかりませんがネガティブな話題・状況での例文が多く(見た感じ、半分以上?)含まれています。不景気、面倒な人間関係、借金、社会問題等々。特に男女間の痴話喧嘩的な例文が目立ちます。
ということで、英語学習=TOEICになってしまっている人は、本書で学習すると、いい感じにバランスのとれた語彙力が得られるかもしれません。
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別売りCDは2種類あって、「基礎用」は和文・英文・見出し語・英文という順で読み上げてくれるそうです。
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もう一種類のCD「復習用」は英文のみ読み上げ。ポーズ無しで読み上げるので、聞き流すか、オーバーラッピングするかといった使い方になります。より上級者向きですね。
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