今回は、ものすごい数の英語本を書いているデイビッド・セインさんの「英会話の9割は中学英語で通用する」をレビューします。
タイトルの「中学英語」が何を意味するのか気になる面はありますが、とにかくレビューに行きます。
Contents
教材著者の紹介
教材著者は、David A. Thayne(デイビッド・セイン)さん。
アメリカ出身。
累計350万部を刊行してきた英語本のベストセラー著者。
日本での25年以上の抱負な英語教授経験を持ち、これまで教えてきた日本人生徒数は数万人に及ぶ。
英会話学校経営、翻訳、英語書籍・教材制作などを行うクリエーター集団「エートゥーゼット」の代表を務めている。
(本書カバーより抜粋編集)
教材の概要
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「mini版 英会話の9割は中学英語で通用する」
ポケットサイズ
159ページ。
発行:株式会社アスコム
発行日:2012年(第1版)
学習内容の詳細
タイトルからは内容が分かりにくいので、「もしや単なる読み物か?」と思ったのですが、中身はちゃんと英語教材っぽくなっています。
ざっくりいうと、「基本フレーズ」+「付け足し」で、いろんな会話ができる!というものです。
たとえば基本フレーズ
Come on.
これだけでは、
「さあ、行こう!」
ですが、これに付け足しをすれば、
Come on + over.(うちに遊びにおいでよ。)
Come on + by.(うちに寄ってくださいね。)
Come on + in.(どうぞ入って。)
のようにバリエーションを作ることができます。
ネイティブもこうやって覚えているのだそうです。
見開きごとに1つの基本フレーズ6つの「付け足し」を加えて6種の文を覚えるようになっています。
基本フレーズには、どんなときに使うフレーズなのか解説されています。
付け足しには、さらに具体的な想定シチュエーションが解説されています。
Part1とPart2に分かれていて、
- Part1で41フレーズ(246文)
- Part2で34フレーズ(204文)
が収録されています。
巻末の「INDEX」では、「あいさつ」「会話を促す」「言い訳」などのシチュエーションごとに、Part1・2で学んだフレーズが分類されています。
教材内容は以上です。
「英会話の9割は中学英語で通用する」の評価
明確な教材コンセプトがあるか?
「基本フレーズ+付け足し」の組み合わせで、かんたんな言葉だけでどんどん会話をしていこう!というのがコンセプトです。
新しい単語を覚えなくても、日常のいろんなシーンでの会話に対応できるということですね。
学習効果が期待できるか?
この教材はそもそもどうやって学習するのでしょうか。フレーズや文を「理解」するのはともかく、どうやって「覚える」のかという話です。
CDがないので音読やシャドーイングなど音声を使った練習もできないし、英文のすぐ下に日本文が書いてあるので、日本文から英文を作る練習もやりにくいです(英文が見えてしまうから)。
あえていうなら巻末のINDEXを利用して、英文の部分を紙で隠して、日本文から英文を作る練習をするぐらいです。
そんな面倒なことをするのも、なんだかなぁ。という感じです。
実践可能な内容か?
上に書いたとおり、フレーズを暗記するための手段がないので、眺めるしかない・・・
英文と日本文が並んで書かれていると、(実際には両方を見ているのに)英文を覚えられたような錯覚に陥って自己満足になるのでよろしくありません。
フレーズ暗記型教材は行動レベルに落とし込んだ形になっていないとツラいです。
それと、「中学英語で」といっても、本書のように基本的な言葉の組み合わせで「こなれた表現」をすることは、中学英語の範疇を超えています。
メリット
普段のレビュー記事だとこの欄はデメリットを書くのですが、本書はあまり良い点を書けていないのでここではメリットを書いてみます。
- ポケットに(がんばれば)入る大きさなので、常に持ち歩きたいときには便利。
- 良く見ると、微妙な言い回しでぜんぜん意味が変わってくる文が紹介されています。例えば、"Don't bother him."[彼の邪魔をしないで。]と、"Don't bother with him."[彼は(誘っても)どうせだめだよ。]など。
総評
「英会話の9割は中学英語で通用する」の総合評価・・・C評価(良い点もあるがおすすめしにくい教材)
超有名・英語教材著者セインさんの本を初レビューしましたが、残念な結果に。
「中学英語」とかハードル低そうなタイトルで気を引くのは誰でもやることだからあまり気にしませんが、教材として使うのは難しいです。
日本以外のノンネイティブはこういう教材でどんどん話せるようになってしまうんでしょうか?うらやましいですね。
フレーズ集はいろんなのが出ていますが、どうやって覚えるか、どうやって使いこなすかという部分のノウハウがないと意味がありません。
フレーズ集を見ただけですぐ使いこなせるようになる人は、そもそも英語学習で困らない人でしょう。
さて、本書がやろうとしていることは、
「『基本フレーズ』+『付け足し』で日常会話できるよ!」というもので、「7+English」と似ています。
日常会話を身に付ける王道ということですね。
フレーズ暗記教材をやるなら、すぐに実践できるようになっている教材にしましょう。
たとえば7+Englishなら「どうやって勉強すればいいんだ?」などと悩まずすぐにフレーズ練習を始められます。
会話形式でフレーズを覚えるなら、Native Englishですね。
買っただけで勉強した気になるのではなく、ちゃんと実践できる教材を選びましょう。
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