有名リスニング教材「リスニングパワー」を実際に購入し、使ってみました。
この記事では、そのレビューを書いています。

 

「リスニングパワー」公式サイトから注文すると、2~3日で送られてきます。スリムなダンボールです。

箱に「リスニングパワー」とデカデカと書かれているわけではなく、運送伝票には、発送元が「株式会社チカラインターナショナル」、品名が「CD・冊子」とだけ書かれています。

risuningupawa-_box

 

箱を開けてみると、CDと冊子が入っています。

risuningupawa-_box_open

 

「リスニングパワー」本編のCDが2枚入ったケースと、とても薄いテキスト冊子。これが教材本体となります。

risuningupawa-_hontai

 

そして、特典の「ボキャパワー」CDと、やはり薄いテキスト冊子。

bokyapawa-

おまけで「英語ビギナーが英会話スクールに行かないでも3ヶ月後に英語上達を実感する勉強法」という別の教材(別売)の広告が入っています。

リスニングパワーCD1の内容。とにかく音、音、音にこだわる

さてCD1は、大半が英語の“音”つまり母音・子音そのものに焦点を絞った内容になっています。

 

CD1ではこんな練習をします。

・日本人のカタカナ的発音と、ネイティブ発音とを比較して聴くレッスン。
・全方位からマシンガンのように飛んでくる母音を聴くレッスン。エコーやサラウンドのようなエフェクト付きもあります。
・日本人の苦手な「r」と「l」、「s」と「th」などを比較して聴くトレーニング

 

これらは「母音」「子音」そのものの単位か、1~2音節程度の単語でのトレーニングです。
主語述語のある、文単位のトレーニングは少ないです。

極限まで、“音”そのものに焦点を絞っており、「アクセント」や「イントネーション」もそっちのけで“音”に集中です。

ストーリーが流れるトラックもあるのですが、そこでも目的は、背景で流れている母音を聴き取ることです。

日本人的な(カタカナ英語的な)発音を聴いた後で、ネイティブ英語の発音を聴くというレッスンが多く含まれています。先にヘタな発音を聴いてからネイティブ発音を聴くことで、正しいネイティブ発音がアイウエオと異なることをはっきりと意識し、正しい英語の発音を意識するように意図されています。

 

またほとんどのレッスンで、この教材の最大の特色である、「日本人が英語を聞き取れるようになる周波数」の効果音が入っています。

どんな音かというと「キューーーーーン」
「ピーーーーーーー」
「ズーーーーーーン」
「ヒューーーーーン」
「ピーーーーーーー」
「キューーーーーン」
「リリリリリリリリ」
「ポワーーーーーン」
という感じで、サブリミナルとかではなく、はっきり聞こえる効果音です。

シンセサイザー・サウンドというか、昔のアニメや映画で使われている効果音と似ています。
たとえば上の「キューーーーーン」は、スター・ウォーズのR2-D2の声をずっと伸ばしたみたいな感じです。

 

非常にユニークなレッスンとして、効果音を聴くだけのレッスンや、さらには、「日本語のアナウンス放送をバックに効果音を聴く」というレッスンもあります。
「日本人が英語を聞き取れるようになる周波数」の効果音を聴くことで、聞き取れる周波数の音域を上げていき、英語のリスニング力を高めるとのことです。

 

この「リスニングパワー」CD1では、一般的な教材と異なり、発音練習→単語練習→文章練習→会話練習のような段階を踏んだ構成になっておらず、乱雑な印象を受けます。

根底にあるのはただひとつ、英語の“音”を聴き取ることです。

乱雑に見える構成も、学習者に「飽きさせない」効果ぐらいはあると言えるかも知れません。

またリスニングパワーはその名のとおりリスニング教材であり、スピーキング練習の要素はまったくありません。

 

教材の使い方としては、聞き流すしかありません。「ヘッドフォン使用が前提」と教材に記載されています。

リスニングパワーCD2の内容。会話文、ストーリーが増えつつも、“音”の聴き取りが焦点。スピードも強化

CD2では、CD1と同じく母音・子音単位で繰り返し聴き取るトレーニングや、日本人にとって苦手な音を聴き取る練習が含まれます。

例のSFアニメ的効果音ももちろん随所に流れているし、エコーをつけたり、全方位からランダムに聞こえてきたりといった処理がされているのはCD1と同様です。

 

また、CD2では会話文・ストーリーが増え、ネイティブ会話スピードへの対応力強化も意識された構成になっています。

会話の内容は、食事に行く、遊びに行くなどを想定した、親しい者同士の日常会話という感じです。上司と部下の会話や商談のようなビジネス的要素は少ないです。

 

CD2ではこんな練習をします。

・日本語にない英語の母音を繰り返し聴く

・日本語になく、日本人が特に苦手とする音を含む単語を聴く。
「f」、「v」、「th」(バイブレーションサウンドと言います)や、appleの「ア」の音など。

・日本人が区別するのが苦手な音を聴く。
「L」と「R」、「S」と「TH」、「walk」と「work」、「appleのア」と「underのア」など。単語での練習と、センテンスの中での練習。

・会話文を聴く。ネイティブ速度で聴き取る練習。

・会話文を聴く。イディオムを多く含む会話文の練習。

・ネイティブの会話によく出てくる短い受け答えを聴く。
「Send me an e mail.(Eメールを送って。)」「What's your address? (アドレスは何ですか?)」のような定型的なもの。

・TOEICボキャブラリー。TOEICで出現頻度の高い単語22個と、例文が収録されています。

CD2の最終トラック24は、特典の「ナチュラルスピード」が収録されています。

リスニングパワーのイマイチな点

全体的に「???」な教材なのですが、特に不満だった点を書きます。

 

■教材テキストが不親切

「リスニングパワー」のテキストはとても不親切で残念な感じです。作りかけのまま売りに出したレベルです。

各レッスンの内容(何を聴き取るレッスンなのか)、狙い(何を目指して学習するのか)、効果(どんなことができるようになるのか)などがほとんど書かれていないのです。

また、トラックに収録されている会話で、テキストに記載されていないものもあります。自分が正しく聞き取れているかどうかチェックしたくてもチェックできず、スッキリしない感じです。

 

ただし各レッスンの内容や狙い、効果に関しては、リスニングパワー公式サイトに詳しく書かれていました。

公式サイトでは、長い長いリスニングパワー体験談の後に各レッスンの内容が詳細に解説されており、狙いや効果、リスニングパワー独自の工夫について、教材テキストよりはるかに丁寧な解説が記載されています。

 

公式サイトの解説とテキストとを合わせれば、レッスンについては大体理解できるようですが、金取って売ってる商品としてはどうなんでしょう…

 

■音量レベルが変動する

音量が大きくなったり小さくなったりする箇所がところどころあります。リスニングする以外に使い道のない教材なので、音源クオリティには配慮してもらいたかったと思います。

 

■効果音がほんとうにリスニング力アップにつながるかどうか分からない

学習者のリスニング力レベルによるとは思いますが、少なくとも私の場合、効果音といっても別に今までまったく聞いたことのないものではなかったし、リスニング力アップとまでは行かなくとも何か刺激や変化が感じられたかというと、正直なところまったく感じられませんでした。

納得できる科学的根拠があれば教材を続けてみようと思うのですが…ないです。残念ながら。

 

■初心者向け教材なのにネイティブスピード音声を聴くトレーニングが含まれている

この教材でリスニング力がアップしたといっても、ネイティブレベルの会話を聴き取れるようになるとはとうてい思えません。ネイティブ会話を聞いてもムダです。

初心者向け教材なのだから、「超初心者」から「少し進歩した初心者」になれたかどうか確認ができるようなコンテンツをいれて欲しかったと思います。

リスニングパワーの優れている点

ほとんどありません。

あえていうなら、日本人の特性を考慮し、日本人が英語の音を習得するために不可欠なものに、真っ向から取り組んだ教材であることかと思います。

 

■日本語的な(ヘタな)英語とネイティブ英語とを交互に聞くトレーニングがいくつも含まれている

これはスコット・ペリー氏が25年以上日本人に教えてきた経験から、日本語と英語の発音をはっきりと区別し、正しい英語の音を身体に染み込ませるのに有効な方法とのことです。

とはいえ、下手くそな英語発音を聞いたからといって発音が矯正されるわけではないので、教材メインコンテンツと呼ぶにはさびしいというのが本音です。

 

■日本人が苦手な音を重点的に学べる

「L」と「R」、「S」と「TH」など、たいていの日本人が苦手な音についての練習はもちろんあります。さらに、appleの「ア」とunderの「ア」や、eatの「イ」とitの「イ」など、本来日本語にはない音が、日本語のアイウエオを当てはめてしまいがちな音についても、英語の正しい発音を学ぶレッスンが収録されています。

しかし、本屋で売っている書籍教材でもその程度のことはカバーされているので、本教材に優位性があるとは思いません。

リスニングパワーは、こんな方にはオススメしません

■すべての人。

超初心者の人にすらオススメしません。もっと安価で良質な書籍教材がたくさんあります。子供用のフォニックス絵本とかのほうが楽しいし効果も高いです。

リスニングパワーは、こんな方ならメリットがあるかも知れません

■日本人で、英語初心者の人

これまで読む・書く勉強中心で聴き取りや発音練習などをほとんどしてこなかった人、「母音って何? 子音って何? 二重母音って何?」という人なら、日本人的なカタカナ読みと英語の発音とは違うということを、はじめて認識できるメリットがあるかも知れません。しかし、この教材でないと学べないわけではないし、市販の書籍教材でも体系的に発音を学べる良書がいくつもあります。

リスニングパワーの購入者サポート体制は十分か?

リスニングパワーでは、特典としてスコットペリー氏が直接質問に答えてくれるサポートがありますが、

「購入後30日以内にであれば、スコットペリー氏に直接質問ができる。ただし英語で、メールで質問すること。質問の内容もリスニングパワーに関する内容に限る」

という超不親切なサポートです。サポート使うな!質問するな!って言ってるようなもんですよね…。

総合評価・・・D評価(おすすめできない教材)

「リスニングパワー」は、英語の正しい発音を聴き取る力を取り戻し、定着させることを意図した教材です。ニュースや映画の会話を聞き取るような高度なスキル以前の、英語の”発音”そのものを学ぶことを狙いとしています。

 

しかし、リスニング力を上げるには、じっくりとネイティブの発音を聞き、音読など声を出してネイティブ発音を真似る練習が不可欠です。

 

「リスニングパワー」に興味を持つのは、おそらく「特殊効果音」に期待している人がほとんどと思います。聞くだけでリスニング力が上がり、映画もニュースも聞き取れるようになる「魔法のサウンド」があるなら誰だって欲しいし、そんな劇的な効果のあるメソッドなら、教育関係者が放っておかないはずです。

 

ですが前述したとおり「特殊効果音」にリスニング力アップ効果を期待できるとは、私には思えませんでした。公式サイトや付属テキストを見ても、特殊効果音がリスニング力を向上させる科学的根拠が見出せません。

 

日本語と英語とで周波数領域がまったく異なることが日本人にとってハンデになっているという説は、何もスコット・ペリー氏が初めて提唱したものではなく、従来から言われていることです。「特殊効果音を聴けばそれを克服できる」などという簡単な話ではありません。

 

ということで、私はこの「リスニングパワー」はオススメしません。

まったくオススメできません。

この教材をオススメしているサイトも信用しません。

 

聞く練習だけでは、リスニング力が向上する可能性は極めて低いのです。自分にあったスピードの(しっかり聴き取れる)教材を使って音読やリピーティングなどの声に出す練習をするほうが、より短期間ではるかに確実な効果が得られます。

 

初心者であれば、「スピークナチュラル」がいいでしょう。発音のトレーニングも含まれており、スピーキング、リスニング両方に効果が期待できます。初心者にはこちらをオススメします。

 

 

おすすめ英会話教材 総合ランキングへ

 

英語教材レビュー&比較 一覧へ戻る

 

おすすめの記事
教材の選び方
こんにちは。タイトルのとおり、サイトを大幅に改装することにしました。TOEIC教材関連の記事を別サイトに移します。TOEIC教材の記事を読み...
英語教材の特長とテキストの使い方(1)
教材の選び方
当ブログではたくさんの英語教材を紹介しています。ここではテキストの使い方の観点から英語教材を分類してみようと思いますが、その前にテキストにつ...