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「絵で見てパッと言う英会話トレーニング 基礎編」のレビュー


絵で見てパッと言うトレーニング基礎編の外観

 

この記事では、英語教材「絵で見てパッと言う英会話トレーニング 基礎編」を紹介します。

 

 

 

本書はちょっとユニークな教材です。さっそくレビューしていきたいと思います。

 

教材著者を紹介します

著者:Nobu Yamada(山田暢彦)さん

1980年アメリカ合衆国ニュージャージー州生まれ。

英語・日本語のバイリンガルとして、英語教室 Beam International を主催。

「世界に通用するバイリンガルを育てること」をミッションに、英語に初めて触れる小学生から、ハーバードへのMBA留学をめざす社会人までを対象に幅広く英語を指導。

TOEIC990点、国連英検特A級、英検1級

 

イラスト:Kajio(加治佐修 :かじさ おさむ)さん

1973年神奈川県生まれ。

1999年台57回手塚賞にて佳作入選、同年漫画家デビュー。

2003年、「週刊少年ジャンプ」で「TATTOO HEARTS」を連載。

その後、手描き・切り絵などのアナログ作品からデジタル作品まで幅広く手がけるイラストレーターとして活動。

モットーは「ストーリーがにじみ出るようなイラスト!」。

(以上、本書巻末より抜粋編集)

 

教材の概要

基本情報を書いておきます。

 

「絵で見てパッと言う英会話トレーニング 基礎編」

著者:Nobu Yamada、イラスト:Kajio

出版社:学研プラス

2011年8月 初版発行

レビューは2016年4月28日第11刷のもの。

 

絵で見てパッと言うトレーニング基礎編の一式

 

◆テキスト

B6サイズ、174ページ。

 

◆CD

1枚付属。20トラック。

 

以下、本書内容を詳しくみていきます。

 

学習内容の詳細

本書は、ざっくり言うと「絵を引き金にした瞬間英作文」+「日常会話フレーズ学習」の教材です。

 

「一人称視点のイラスト」つまり、「自分」が会話をしているという感覚でスピーキング練習をします。

 

従来の学習は、たとえばバス停で待っている人の絵を見て "Tom is waiting for the bus.” とかある意味[どうでもいいこと]を話す練習をするものだったんですね。他人事なので気持ちがこもらないわけです。

 

しかし本書では、自分が会話に参加しているという臨場感を伴って発話練習をします。

 

本書では著者が

  • 発話の必然性と使用実感を味わいながら英会話の練習ができます

と書いているように、機械的な「和文英訳」の作業ではなく、自分が英会話をしている感覚をつかむことができるわけですね。

 

実際にどんな要領で練習するか見てみましょう。

 

本書のトレーニング:瞬発力が命

 

本書の右ページは、場面の説明と、イラストと、自分が言うセリフの日本文が書かれています。

状況を想像しながら、自分のセリフを英語で言う練習をします。

「瞬発力」を意識して、できるだけ速く英文をアウトプットします。

 

絵で見てパッと言うトレーニング基礎編の右ページ

 

ページをめくると、左側ページには、解答例の英文と、前の右ページのイラスト、そして解説が書かれています。

口語的によく使われる語句・表現の解説や、細かなニュアンスや、フレーズを使う際に注意すべきポイントなどです。

 

絵で見てパッと言うトレーニング基礎編の左ページ

 

上記の要領で英文を作る練習を繰り返すことで、表現の基本パターンが自然と身についていくというものです。

 

また、本書では、正確に日本語を英語に訳すのが目的ではなく、状況を読み取って、流れにふさわしい言葉を選び、英文を作れるようになることをめざします。その意味では、文法的に正しい構文を作る回路を構築する森沢洋介さんの「瞬間英作文」とは多少、趣の異なるものです。

 

なので、例えば

友達に「今日、ごはん食べに行かない?」と誘われた。

と聞かれて、

 

「いいねー。」

 

と答える場面では、解答例は

Sounds great.

となっています。(日常会話の頻出フレーズですね)

 

「いいねー。」を直訳すると、

 

That's good.

 

のようになりますが、これだと「あんまり乗り気ではない」ニュアンスがあるので、この場面にふさわしくないのです。英語は大げさに言う言語ですから。

 

ということで、本書のトレーニングはちょっと想像力が必要です。どんな英文を答えればいいかわからないときはすぐに答えをみて、繰り返し練習していきます。

 

CDは音読練習に使う

CDは英文のみが収録されており、特にテキストと連動させて学習させる構成にはなっていません。

 

スピーキング教材なので発音の確認ができるようになっているほうがいいですね。その意味で、CDがついているのは良いと思います。

 

また、短めですがリピーティングするための空白時間が設けられていますので、リピーティング練習に使うことはできます。

 

シーン別に頻出表現を学習できる

本書では、以下のようなシーン別に頻出の表現がまとめられており、シーンごとによく使われる表現を関連付けて覚えられるようになっています。

 

  • Scene1 初対面(9場面)
  • Scene2 自己紹介・質問(12場面)
  • Scene3 日常のあいさつ(11場面)
  • Scene4 聞き返し・つなぎ(6場面)
  • Scene5 英語について(7場面)
  • Scene6 あいづち(7場面)
  • Scene7 お礼(4場面)
  • Scene8 感想(9場面)
  • Scene9 ほめる(10場面)
  • Scene10 気づかう(5場面)
  • Scene11 依頼(7場面)
  • Scene12 提案(10場面)
  • Scene13 スモールトーク(9場面)
  • Scene14 学校・レッスン(6場面)
  • Scene15 空港で迎える(12場面)
  • Scene16 観光の計画(11場面)
  • Scene17 日本を案内する(28場面)
  • Scene18 家を訪ねる(17場面)
  • Scene19 自宅に招待する(16場面)
  • Scene20 食事会・飲み会(11場面)

 

上の練習がメインパートになりますが、随所に

 

  • Basic Expressions
  • Additional Expressions

 

絵で見てパッと言うトレーニング基礎編のBasicExpressions

 

というコーナーがあり、Sceneの関連バリエーションフレーズが紹介されています。

また、

 

  • Communication Tips

 

というコーナーもあり、ここでは「依頼するときの言い方」や「誘うときの言い方」など円滑にコミュニケーションするためのポイントと表現が解説されています。

 

巻末には、

 

  • 超定番!会話に役立つ基本文型のまとめ

 

というパートがあり、本書で出てきた表現を一覧できます。

 

絵で見てパッと言うトレーニング基礎編の会話に役立つ基本文形のまとめ

 

本書の内容は以上になります。

 

本書の良い点

本書の優れている点を考察してみます。

 

  • 文字を引き金にせず英文を作る練習ができる

森沢洋介さんの「瞬間英作文」など、文字→英文の教材や、CD音声→英文の教材が一般的ですが、本書ではイラストから英文を作るので、従来の教材とは異なる負荷を脳に与えることができます。特に、脳においては絵を認識するほうが文章を読むよりはるかに速く行われるので、本書で繰り返し練習することで発話能力が大きく伸びることが期待できます。ここは従来の教材にない本書のユニークポイントです。

 

  • 英文(解答)を考える練習ができる紙面レイアウトになっている

日本文と英文が一緒に書いてあるフレーズ学習教材が多いですが(例えばこれ)、本書のメインパートではページをめくらない限り解答の英文が見えないので、ちゃんと英文を作る練習をすることができます。そしてめくったあとの左ページには、再度イラストが載っているので、イラストを見ながら解答の英文を口ずさむ練習ができます。スムーズに学習ができるように、シンプルながらとても良く考えられたレイアウトになっているのは素晴らしいです。

 

  • イラストのクオリティが高い

本書はなんといってもこれがすごいです。「絵を見てスピーキングする教材だから絵のクオリティは大切だろう」という著者・山田氏のこだわりでしょうか。絵を使いまわしていない(1問1問違う絵になっている)のも良いです。すべての英語教材にこのクオリティのイラストがあったらいいのに、と思います。

 

  • CD音声はネイティブ速度に近い

CD音声の収録形態自体には特徴はありませんが、例文音声がかなり速いスピード+短めのポーズ時間で流れてくるので、音読の面でも瞬発力を作る練習ができます。

 

向いている人

  • 従来型のフレーズ集で挫折した人
  • 文字から英文を作る瞬間英作文トレーニングが飽きてきた人

 

総評

「絵で見てパッと言う英会話トレーニング 基礎編」の総合評価・・・評価(優れている教材)

 

テキストに書かれた英文を音読したり、日本文を英文に直したりする練習は必ず必要だし、効果の上がるものですが、将来的には紙に書かれた文字からではなく、何にもない空間から英語が出てくる発話力を手に入れるのが理想です。

 

そのレベルの発話力に到達するのは簡単ではありませんが、本書のように絵から英文を生み出すトレーニングはその発話力に近づくのにかなり有効ではないかと思っています。

 

文字から英文を作る通常の瞬間英作文を実践されている方は、平行して本書のトレーニングをしてみてはいかがでしょうか。森沢洋介さんの「瞬間英作文」では、構文構成スキルに特化するために、日常会話では使わないような文を作る場合があるのがネックといえばネックですが、本書では頻出会話フレーズの発話に重点を置くので、相互補完的に会話力を高めることができるでしょう。

 

以上「絵で見てパッと言う英会話トレーニング 基礎編」のレビューをお送りしました。

 

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