ずっと書いてきたとおり、音読中心の学習を続けたことで、TOEIC990点を取ることができました。
音読したことで、何が得られたのか?考えてみました。
目に見える形の成果が得られた
音読に本気で取り組んだ結果、TOEIC最高点の「990点」という客観的でわかりやすい成果が得られたことは大きいです。
TOEICスコアが高い=英語力が高いとは限らないとみんな感じつつも、実際に高得点を取っていると一目置かれます。
「数字がものをいう」のです。
必ず効果の上がるTOEIC学習法を確立できた
TOEICで「990点を確実に取る学習方法」は存在しないといわれます。
しかし、990点に「確実に、限りなく近づいていく学習方法」なら、確立することができました。
それは、「良質な英文」を、「理解した上で」「大量に反復して音読する」というシンプルな学習方法です。
私はしばらくTOEICの学習から遠ざかっているので、いますぐ公式テストを受けてもおそらく990点は取れないでしょう。
しかし上に書いた学習方法をもう一度実践すれば、必ずまた990点に近づくことができると確信しています。
そしてこの学習方法は誰にでも実践可能な再現性のある方法であることは言うまでもありません。
「反復学習が大切」ということの意味をやっと理解できた
いちばん大きいのはこれです。すなわち
「内容を理解している英文を繰り返し学習することで、英語力が格段に上達していく」
という事実です。
以前から「たぶんそうなんだろうな〜」と思ってはいたのですが、一定期間本気で音読に取り組んだ結果、ようやく自分の経験として実感できたという感じです。
上のことはいろんな人が本に書いています。
例えばこのブログでよく引用させてもらっている森沢洋介氏(「瞬間英作文」シリーズ著者)。
英語力を付けるための基本法則はきわめて単純なものです。『意味・文構造を理解できる英文を意味処理しながら一つでも多く自分の中に取り入れ、英語の文法・構文に則った文をひとつでも多く作る』ということを行えばいいのです。
(英語上達完全マップ、p.33)
英語上達の秘訣は、端的に言えば、『文構造・意味が理解できる文を何度も肉体的に出し入れすること』です。音読はこれを効果的に行える方法なのです。
(同書、p.64)
英語を知識にとどめおかず、使える技術にするためには、1回理解しただけではなく何回も同じことを反復することが絶対に必要です。学校で何年も英語をやり、かつ成績もよい人が英語を使いこなせないのは、この繰り返しが致命的に欠如しているからです。
(同書、p.69)
英語を内在化させるためのトレーニングはみな一定の反復作業を伴います。音読はその中でも反復回数がもっとも多いトレーニングです。・・・ジョギングやウォーキングのような有酸素運動で、減量効果を得たい時、一定の時間運動を続けるのが効果的と言われます。・・・音読の効果にも似たところがあり、一定数の反復を行っていると英文が自分の中に深く沈んでくる感覚が得られます。
(同書、p.75)
たやすくできることを楽に繰り返すことにより『熟成』が起こり、深い刷り込みが起こるのです。けんかをする場合、相手が降参したらそこで攻撃を止めるのがルールでしょう。しかし、英語のトレーニングでは、相手が無抵抗になっているときにさらに馬乗りになって殴りつけてとどめを刺すことが肝心です。
(同書、p.112)
TOEIC990点小説家・清涼院流水氏も。
100%単語と文法を理解している英文を繰り返し読む「多読」は効果絶大です。
・・・
これは、実は、リスニングにも当てはまる話です。リスニングにおいても、「『精聴』と『多聴』をどのように組み合わせれば良いですか?」とよく質問されるのですが、正解は「いったん『精聴』した音源をひたすら『多聴』すること」です。
(「TOEICテスト300から990点へ、『7つの壁』を突破するブレイクスルー英語勉強法」、p.83)
いかに「わかったつもり」を徹底的に排除できるか、が、英語学習の最重要ポイントだと思います。既に100%理解していることを、さらに学習し直す「オーヴァーラーニング(=過剰学習)」こそが理想なのです。
(同書、p.151)
同時通訳の神様・国弘正雄氏(「ぜったい音読」シリーズ著者)も。
また中学三年までのリーダーをおすすめするもう一つの理由は、やはり朗読するには何よりもその内容がよく理解できており、文法的な構造も、個々の単語の意味も理解できているようなものであることが望ましいからです。
要は、内容のよくわかったものを繰り返し繰り返し反復朗読するというのが、英語を上達させる秘訣です。しかも朗読を繰り返していると、不思議なことに、ただ単に英語が自然に口をついて出てくるようになるばかりでなく、英文を見たときに、それこそ「黙って座ればピタリとわかる」という状態になります。
(「英語の話しかた」、p.137)
「単純なことを愚直に繰り返す」という、その意義を心でちゃんと受け止めることが出来るか否かが、只管朗読の成否を握っているのです。それがここ三十年間、いろいろな人を観察してきた私の結論です。
同じことを繰り返すなんて、飽きてしまって、時間の無駄だと考えるのは、ごく普通だと私も思いますが、そこを飽きない人が飛躍するのです。
(「国弘流 英語の話しかた」、p.35)
過去三十年、私が只管朗読についてお話したり、書いたりする場合、いつも忘れずに付け加えた条件がありました。それは「一通り意味のわかった英文を」という条件です。私の勧める音読は、まったく新たな英文の意味を理解する方法ではありません。「チンプンカンプンの英文でも、ひたすら声を出して読んでいるとわかってくるぞ」と主張しているわけでは決してない。
一通り意味がわかっているのなら、それを繰り返し読む必要などないではないかと反論することも可能ですが、おそらく私はそこで議論を止めるでしょう。
そう反論する人は、その一通りの程度については何もわかっていないからです。素振りで言えば、バットが空気を切り裂いて音を出すなどとは思いもよらぬ人です。バットを一通り振ることぐらいは、病人か余程の老齢でもない限り、誰にでも出来るのです。中学の教科書どころか、高校の教科書まで一通り意味の分かる人はたくさんおるのです。ただ、一通りでは飛躍はできません。それは過去の結果を見れば一目瞭然です。
(同書、p.47)
日本の教育現場では、リーダーの読解は意味を求めて読んでいきます。辞書を引き、文の仕組みを考えつつ、訳文をこしらえ、教師の訂正を受ける。これが伝統的なやり方です。その作業だけに大半の時間が費やされます。そして、ようやく文の意味を獲得すると、それでおしまいとして、次の教材に進む。みなさん経験済みでしょう。
・・・
ところが、シュリーマンの方法は違います。彼は外国語の学習段階で、一通り意味を理解するというプロセスに、なるたけ時間を使わぬようにしました。そのためには、すでに内容の分かっている本をテキストに選んだのです。彼が集中して時間を使ったのは、意味がわかった本を何度も朗読して暗記してしまうというプロセスです。
(同書、p.131)
東進ハイスクール講師・安河内哲也氏も。
あなたは、文法の「理屈」を理解したら、その文法をマスターしたと思っていませんか?文法の問題集を解ければその項目は習得できたと思っていませんか?それは「間違い」です。
理屈を理解できても、文法ルールを使いこなせるというわけではありません。
文法ルールを自動化するには、例文や構文を繰り返し音読して身体に染み込ませなくてはなりません。もちろん、ネイティブの音声をまねしながらです。
(「完全保存版 できる人の英語勉強法」、p.43)
国内で独学でTOEIC満点・英検1級を取った野島裕昭氏も。
最も効率的に音読をする方法は、音読をする前に日本語訳を見てしまうことです。
リーディングの勉強というと、「まず英文を読解してから設問を解く」というイメージがあるかもしれませんが、難しい英文を一生懸命に読解するのが勉強ではありません。
私は大学を受験する際には、英語の偏差値を70前後まで上げることができましたが、設問を解いたり英文を日本語に訳したりする作業はストレスになるのであまりしませんでした(そのためほとんどペンをもって勉強したことはありません)。まず日本語訳を先に読んで英文の内容を理解した上で、英文をひたすら音読して英語を脳に叩きこんだのです。
(「超音読」英語勉強法、p.58)
以上、引用でした。
みんな表現は違えど言っていることは同じです。
意味・内容を理解した英文を繰り返し学習(特に音読)すること。これだけです。
ほとんどのことは「反復」で解決できるはず
英語が上達しないと悩む人の多くは、純粋に反復が足りないのでしょう。
「意味のわかっているものをわざわざ繰り返し音読する」という一見無駄なことをやるのは、誰でも抵抗があるものです。
私もかつては、そんなことに価値があるとは思っていませんでした。常に頭を使って、何か新しいこと、チャレンジ的要素のあることをやっていないと英語力は上がっていかないと考えていました。
しかしそうではなかったのです。
頭で理解したと思っているものを、これでもかというぐらい反復して学習することで、本当の進化が起こります。
このことを自分の体験として納得できたことが、音読を続けて得られた何よりの収穫でした。