ホーム » 音読と暗唱 » 知っておきたいシャドーイングと音読の類似点と相違点

知っておきたいシャドーイングと音読の類似点と相違点


シャドーイングと音読の科学の外観

 

今回はシャドーイングと音読について、ちょっと専門的な本を引用しつつ書きます。

 

「シャドーイングや音読は効果が高い」とよく言われますが、私はシャドーイングを継続的に実践したことはなく、音読に専念しています。

 

このブログでも、シャドーイングは上級者向きのトレーニングであり安易にすすめられるものではないと書いてきました。

 

以前にも記事で紹介した「シャドーイングと音読の科学」には、シャドーイング、音読、リピーティングについて、学習者が留意すべき点が解説されています。

 

シャドーイングと音読の科学

 

本書は、どちらかというと英語教師向けを意図した本のようで、内容が専門的なのですが、音声面の英語トレーニングを続けていきたい人なら読む価値があります。

 

本書の文を引用して、シャドーイングと音読について比べていきます。

 

シャドーイングと音読の類似点

類似点1.学習者みずから発するのではなく、言語インプットにもとづき、声に出して発音する作業である。

 

これはわかりますね。学習者が発する英文は最初から用意されており、他者からのインプットに応じて発声するということです。覚えている英文を自発的に発するトレーニングは、[シャドーイング]からも[音読]からも外れてしまいます。

 

類似点2.言語インプットを、処理の深さのレベルは様々でも、できるだけ即座に認識した上で、心の中で音声・音韻表象を形成し、それを調音するというプロセスを含む。

 

なんだか難しいですが、音声を聴いたら(シャドーイング)、または文字を読んだら(音読)、即座にそれを自分が発声するための音に直す作業をするということですね。「処理の深さのレベルは様々でも」というのは、シャドーイングでは単語を音節単位で認識したら即座に自分の発声する音を準備するが、音読では意味の区切り(例えば2~3語)まで黙読してから、発声する準備をすることもできる・・・という意味だと思います。

 

いずれにせよ、インプットされるスピードと同じ速度で、少し遅れて発声する点は共通しています。

 

類似点3.時間的余裕が与えられるオフライン的なリピーティングなどと異なり、原則的にどちらもオンラインで処理し、発音することが必要である。

 

上記類似点2と若干重複しますが、リピーティングではひとかたまりの英文を与えられてから反復するのに対し、シャドーイングと音読はオンライン(リアルタイム)で処理しなければならないということです。

 

シャドーイングと音読の相違点

相違点1.シャドーイングは聴覚、音読は視覚というように異なるインプットモードを持つ。

 

音声インプットか文字インプットか、という話ですね。

 

相違点2.シャドーイングは、話し手のスピードに遅れずについていくことが求められるのに対し、音読では、一定の速度を保とうとする制約はあるものの、ある程度自身でスピードが決定できる。

 

シャドーイングではCDなり先生なり、学習者以外のものがスピード(ペース)を決めますが、音読なら学習者が好きなスピードで読めるということです。

 

相違点3.シャドーイングは発音のためのモデル音声をもとに発音するタスクであるが、音読ではそのようなモデル音声は存在せず、自身の長期記憶内の音声知識をもとに発音する課題である。

 

音読では、CD音声をお手本にしながら行う場合もありますが、基本的には音読を始める前に、お手本の音声をある程度覚えていることが前提になります。

 

相違点4.概して、シャドーイングのほうが音読よりも、学習者の側により集中力が必要な、認知的に困難な課題である。

 

相違点5.シャドーイングのほうが音読よりも、学習者にとってはよりストレスのたまりやすい課題である。

 

シャドーイングでは、他者が決めるペースに遅れないように、聴いた音声を認識して、自分が発する音声の準備をしなければいけません。しかもその間も他者からのインプットを受け取り続ける必要があります。ですから当然、「集中力が必要」であり「認知的に困難」であり「ストレスのたまりやすい」トレーニングになります。

 

相違点6.シャドーイングのほうが音読よりも、学習者にとってかなりやさしい言語材料を教材として使用する必要がある。

 

これだけ大変な「シャドーイング」をどうしてもやろうと思ったら、使う教材に配慮することで対処するしかないということですね。

 

効果が高いのは「シャドーイング」、実用的なのは「音読」

筆者は続けて以下のように書いています。

・・・シャドーイングのほうが、学習者にとってさらに効果的な方法であるかのような印象を持つ読者もおられると思います。しかし、事はそう簡単ではありません。

・・・シャドーイングに従事することが可能な状況を作り上げることができれば、シャドーイングは外国語の学習にとてもよい手段となるのですが、これが実は結構難しいと思われます。

 

・・・音読の方が、特に相違点3の結果、本来の英語とは異なる日本式発音をしてしまうというようなことを何らかの方法で是正することができれば、実はとても実用的だと言える面を持っています。

 

私がTOEIC対策のためにシャドーイングを敬遠して音読ばかりやっている理由は上記のとおりです。つまり私は語彙・頻出表現を獲得するのが目的なので、ストレスがたまりにくく、長時間続けやすい[音読]のほうが、[シャドーイング]よりも実用的なのです。

 

本書によればシャドーイングのほうが、幼児が第一言語(日本人なら日本語)を獲得する過程に近いため外国語学習としての効果は高いとされています。しかし上記のとおり長時間行えるトレーニングではないし、教材選びにも制約が出てくるので、なんとも悩ましいところです。

 

冒頭にも書いたように、無責任にシャドーイングを推奨する風潮があるので、「シャドーイングがいいよ」と言われてやってはみたものの、挫折したという人も多いと思います。しかし上記のとおりそもそもシャドーイングで効果を上げるような環境を作ること自体容易ではないし、環境を作れたとしても継続するのは大変なわけです。

 

なので別に落ち込む必要はなく、音読から取り組んでみればいいのではないでしょうか。少なくともTOEICのリスニングパート対策なら音読で十分です。

 

 

この記事に関連する記事一覧

おすすめ英語教材
初級者用おすすめ英語教材
中・上級者用おすすめ英語教材
管理人プロフィール

管理人:
ひろし(TOEIC970点)

TOEIC970

⇒プロフィール詳細

おすすめ教材ランキング
カテゴリー
最近の投稿
アーカイブ
教材に関する相談を受け付けます。

「ブログで紹介されている英語教材に興味があるが、購入するかどうか迷っている」「教材の中身についてもう少し教えてほしい」という方は遠慮なくご相談ください。→お問い合わせフォームはこちら