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話すための英語力の表紙

 

音読でTOEIC970点に到達した件に絡めて、音読についての記事を書いています。

 

今回は、なぜ音読が効果的なのか?を考えてみます。

通訳者の鳥飼玖美子さんは、日本人が英語を学ぶときに直面する「壁」の一つとして、言語間の[距離]を挙げています。

話すための英語力 (講談社現代新書)

 

英語という言語と日本語という言語がかけ離れているという現実は無視できません。

 

米国国務省に、英語を母語とする外交官などの政府職員を訓練するForeign Service Institute(FSI)という機関があります。国務省をはじめ40にわたる省庁や軍隊から集まる毎年10万人の連邦政府職員に対し、600もの訓練コースを提供しています。

 

その中で言語教育を担当するSchool of Language Studiesでは70を超す言語を教育しています。通常1クラス4名程度の少人数クラスで、1日に4~5時間の授業、1時間がコンピューター教室、数時間を宿題などの自習に当てるという集中訓練です。

 

到達目標は「自分が専門とする仕事に使えるコミュニケーション力」です。国務省FSIが定めたILR(Interagency Language Roundtable)Scaleでは、0(運用能力なし)から5(母語話者かバイリンガル)まで6段階があり、「自分の専門で仕事ができる言語運用力」(Professional Working proficiency)は、「話す」「書く」ともに3のレベルとされています。

 

さらに、英語母語話者の受講生がその目標を達成するまでにかかる時間によって、各言語をつぎのような4つのカテゴリーに分類しています。

 

カテゴリーⅠ:「英語と密接な語族関係にある言語」

デンマーク語、オランダ語、フランス語、イタリア語、ノルウェー語、ポルトガル語、ルーマニア語、スペイン語、スウェーデン語の9言語。目標達成までに24~30週間かかる。

 

カテゴリーⅡ:「カテゴリーⅠより習得に少し長くかかる言語」

ドイツ語、ハイチ・クレオール語、インドネシア語、マレー語、スワヒリ語の5言語。目標達成までに36週間。

 

カテゴリーⅢ:『困難な言語』「英語とは言語的文化的に相当な違いがある言語」

アルバニア語、ビルマ語、ロシア語、タガログ語、タイ語、ベトナム語など50言語が掲載されていますが、すべてを網羅してはいないと注意書きがあります。目標達成までに44週間。

 

カテゴリーⅣ:『超困難な言語』「英語母語話者には極めて難しい言語」

アラビア語、中国語(広東語と北京語)、日本語、韓国語の4言語。目標達成までに88週間。

 

「話すための英語力」第1講より

長々と引用しましたが、ようするに日本語は英語から非常に離れている言語であると米国国務省が認めているわけです。

立場を逆に変えてみれば、私たち日本人が英語をある程度使えるようになるには、88週間集中的に特訓しなければならないということです。朝から晩までガンガン英語を特訓して約1年半です。その上に半年くらいは留学した方が良いとさえ推奨されているのです。それほど英語と日本語とは言語文化的に距離があるのです。それなのに日本の学校では10年間で2ヶ月くらいしか英語を学習していないのです。もちろん集中的な特訓などやっていません。その割には日本人学習者は英語が良くできるなあ、と感心するほどです。

 

(引用元は上と同じ)

日本語と英語の「距離」についてあまり考えたことがなかったですが、「なぜ学校で10年間も英語をやってるのに全然ダメなの?」という問いに対する答えの一つが上に書かれています。

 

上記のカテゴリーⅠやⅡの言語(英語と距離の近い言語)を話す人達は、英語を学ぶ前から、英語的なエッセンスがある程度、体内に存在しているといえます。

「英語を英語のまま受け入れる」素地が最初からあるわけですね。

 

一方、日本語は英語から非常に遠い言語のため、日本人は英語的なエッセンスを持っていません。

文法・構文などを頭では理解できても、「英語を英語のまま受け入れる」体質はできていないのです。

そのような体質づくりをしようにも、「理解するための学習」中心の学校教育ではムリ、というのが現実ですね。

日本語と英語とはかけ離れているから、「音読」が重要。

英語を英語のまま受け入れられる体質を作るには、意味を理解した英語を繰り返し聴き、繰り返し音読することです。

そもそも体内に英語エッセンスがないのだから、リスニングと音読を通して、身体に英語エッセンスを内在化させる過程が必要です。

 

この過程をすっ飛ばして英会話スクール等にいっても、英語スキルがすぐに頭打ちになることは自明でしょう。

日本語と英語の距離が埋まらないまま、あるいは「超困難な言語」のまま、英語を身に付けようとしているわけですから。

 

「英語は日本語と距離が離れているのだから、そもそも英語を学ぶことは簡単ではないんだ」とまず認識しましょう。

近道、裏技などはないということを知れば、効果のない教材やスクールに搾取されるリスクも減り、何をするのがいいか見えてきます。

 

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