音読に徹した学習でTOEIC970点に到達したときの使用教材について書いています。
前回の記事ではメイン教材の話を書きました。
今回はサブ教材について書きます。
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リーディングパートの教材を使って音読する
私が音読をする目的は、英語力そのものを底上げしながらTOEICのスコアアップをはかることでした。
TOEICのパート7では、リスニングパートよりも広範囲の分野・テーマからの文書が出題されます。
含まれる語彙も、より高レベルなものになります。
そのため、パート7の文書を音読することは、語彙力を充実化させるために極めて有効な手段になります。
ということでパート7の教材を使って音読をすることには何の疑問もなかったのですが、教材選びは多少悩みました。
悩んだ挙句、鉄板教材に落ち着いた
メイン教材の「TOEICテスト新形式精選模試リスニング」と同じシリーズで、「新形式精選模試リーディング」も入手していました。
しかしこちらは朗読音声が付いていません。
音声が付いていれば、迷わずこれを音読に使ったんですが......。
残念ながら、他を探すことにしました。
音声付きのリーディング教材としては、ヒロ前田先生の「TOEICテスト究極のゼミPart7」と、神崎正哉先生・TEX加藤先生・Daniel Warriner先生の「読解特急」シリーズがあります。
(下記リンクはいずれも新装改訂版です。当記事の「究極のゼミ」の写真は旧版なので表紙が異なっています)
どちらも実績ある先生が執筆されており評判の良い教材なのでどちらを選んでも良いのですが、なんとなく次のようなことを考えて、今回は「究極のゼミ」を使いました。
- ヒロ前田先生の知識・ノウハウが凝縮されている。
- 本編339ページ+ミニ模試2回分という大ボリュームであり、TOEICで出る可能性のある文書タイプをほぼ網羅していると期待できる。
- 通勤時の学習を想定してコンパクトに作られた「特急シリーズ」と異なり、自宅学習用の大きめサイズなので、書き込みやマーキングをする私の学習方法においては使い勝手が良い。
もっとも大きなポイントは、1冊でパート7全体をカバーすべく作られている(※新形式未対応の点は除く)ため、さまざまなタイプの文書が含まれていることです。1冊通して音読をするだけでバランス良く、かつ網羅的に語彙を学べると期待できます。
一方、「特急シリーズ」は、本によって初級者向け、上級者向け等があります。
「記事タイプの文書に強くなりたい」という目的に合わせて「読解特急3上級編」を音読する等、個別の目的に沿った音読をするときには有効と思いますが、それはまた今度やろうと考えて、今回は「究極のゼミ」を使いました。
説明不要の巨匠が執筆
TOEICの学習を続けているとそのうち必ず名前を聞くことになる、有名なヒロ前田先生が執筆されています。
「究極のゼミ」シリーズは他の講師との共著のものもあるのですが、本書はヒロ前田先生ソロ作品です。
また、本書で英文作成をしているRoss Tulloch氏も、TOEIC文書に精通しており多くの教材作成に参加しています。
教材の特色は、「設問コンシャス」と「対話式解説」
本書の主な特色(パート7対策教材としての)は、設問タイプごとの戦術が詳しく解説されていることと、「講師-生徒の対話」の形でわかりやすく解説されていることです。
音読をする上では、あまり設問について詳しく解説されている必要はないのですが、「TOEICの問題を研究した上で、文書が緻密に計算されて作られている」という安心感があります。
また、設問に絡む重要語句についての解説が豊富なのは、語彙力を高める上でとても役立ちます。
本書は初級者が読んでも理解できるように親切な設計になっており、語注も、割と初歩的な語句までカバーしたデラックスな語注になっています。
いまこの記事を書くために、改めて本書をパラパラめくっていたのですが、やっぱり解説がずば抜けて充実していると感じました。
「無味乾燥に見えるパート7の文書/設問に、実はこんなにも豊穣な世界が隠れていたのか」と驚くばかりです。
本体とミニ模試で65ユニットを収録、すべてに朗読音声付属。
本書のもっとも素晴らしい点は、良質な文書と朗読音声のセットがたっぷりと手に入ることです。
くどいようですが、ミニ模試の文書にまで音声が付属しているのはとても嬉しい仕様です。
音声付ということで買ってみたら、実は部分的にしか音声が付いていなかった、というちょっと残念な教材もありますから......。
音声ファイルはユニットごとにトラックが分かれていて、検索性も優れています。
さすがアルク、というところでしょうか。
以上、本書は音読用素材としての要件をすべて備えているので、後は実践するのみです。
大ボリュームなので1周するだけでもけっこうな時間がかかります。
本体/ミニ模試1/ミニ模試2という構成なので、本体を音読用にして、ミニ模試は通常の学習(設問解答)に使うのも手かも知れません。
いずれにせよ、気長に取り組むのみです。
そもそもTOEICパート7の文書なんて、面白おかしく読めるものではありません。
あくまで英語力とTOEICスコアを向上させるためにやるものです。
実のところ、私もまだ本書はあまり反復できていません。
最低でも30回は音読したいと思います。
・30回リーディングしたら、リーディングでも満点取れるようになるか?
・30回で足りないとしたら、何回やればいいのか?
分かりません。
しかし反復音読しているうちに自分の中で何かが起こってくれると期待しています。
ふつう学校で多読指導と称しているものは、精読→多読らしい。精読したものを繰り返して音読して、身に付けるという作業を抜かしてしまう。これでは有意義な多読に進めません。
多読が意味を持つには、心の中から「このテキストと同じ程度なら、かなり速く読めそうだ」という予感が生まれてこないといけません。そうなるように仕向けていくのです。そのためには、一見回り道のように思えても、精読したものを、繰り返し音読して、ちゃんと身につけるという段階を踏むことです。
九割以上の人は功を焦って、そのステップを省こうとします。欲にかられてと言ってもよい。案の定、そういう人は後で伸びません。私は、中学の教科書の音読を五百回などという、常識的に考えたら、壮大な無駄としか思えないようなステップをきちんと踏んだので、その後で大いなる飛躍が可能でした。