人気の英会話教材スピークナチュラルとHapa英会話を比較してみます。
この二つの教材は公式ページの雰囲気などまったく違いますが、スピークナチュラルにも旅行英会話の要素が入っているので、旅行英会話教材と呼べなくもありません。
いずれも人気教材で、内容に共通する点もあります。
私が実際に教材を購入して評価していますので、教材購入を検討している人は参考にしてみてください。
※スピークナチュラルは2016年にリニューアルされました。本記事では、リニューアル前の旧版について書いています。
リニューアル版の詳細については、公式サイトでご確認ください。(本記事最後に公式サイトへのリンクがあります)
スピークナチュラルとHapa英会話の共通点
まず、スピークナチュラルとhapa英会話の共通点をあげてみます。
・日本語の文を聞く→英語フレーズに直す、というトレーニングをする
・海外での買い物やレストランなどでのシチュエーションを想定したレッスンがある
・フレーズ単体ではなく、会話ベースでの練習をする
・基本的には、テキストとCDでの学習
・聞き流し教材ではない
・ハイスピードで聴く練習などはない
・学習効果を自己チェックするパートがある
ざっとあげてみました。
このように共通点は多いですが、両教材の目指すところはかなり異なっています(あとでじっくり見ていきます)。
それではまず、教材概要から見てみましょう。
教材概要
とりあえず、教材を注文したとき送られてくるものを見てみます。
スピークナチュラルの教材一式
スピークナチュラルは、テキスト1冊、CD14枚です。
下の写真はスピークナチュラルの教材一式です。
Hapa英会話の教材一式
Hapa英会話は、
教材本編がテキスト1冊、CD12枚、DVD1枚です。
特典として、教材本編と同じ形式の追加レッスンが収録されたテキスト1枚、CD3枚。
下の写真がHapa英会話の教材一式です。
それではここから、ふたつの教材の比較をしていきます。
教材コンセプトはまったく異なる
ふたつの教材は目標が異なるため、コンセプトも大きく違います。
スピークナチュラルの教材コンセプト
スピークナチュラルは、「英語が話せるんだ」という実感を得るのが目標です。
フレーズを覚えるより前の段階の、英語を聞き取ったり、真似をしてしゃべったりする力をつけることに重点をおきます。
それが「超スローリスニング」というメソッドです。
もちろん会話特化型教材なので自分の言いたいことを伝える練習をするのですが、「ネイティブを相手に話す」とか、「アメリカでよく使われる表現」などのシチュエーション設定はありません。
また「店員と客の会話」の練習もありますが、それに限定していません。
広く全世界で通じる「シンプルイングリッシュ」を目指します。
つまり、基礎的なリスニング・スピーキング力と、どこでも使える最大公約数的なフレーズを学ぶ教材です。
完全初心者でも取り組めるようになっている分、中級以上の人は新たに学ぶものがないかも知れません。
※読み書きが中級以上でも、会話の経験がないという人には効果があるでしょう。
Hapa英会話の教材コンセプト
Hapa英会話は、アメリカでホテルやレストランに入って、店員さんとスムーズに会話できるのが目標です。
とはいっても、現地の店員さんと雑談できるような会話力を身につけるのではなく、食事の注文をしたり、ホテルのチェックインをしたり、明確な目的を遂げるために、お決まりのフレーズを言えるようになろうということです。
教材のコンセプトは、「自分(=旅行者、客)が言う可能性のないフレーズは覚えなくてよし!」と割り切っていることです。
こう割り切ることで、学習負荷を少なくし、実戦レベルに早く到達しようというコンセプトです。
また聞き取ることに関しては、ネイティブの英語を聞いてすんなり理解できるように、現地で実際に使われている用語を使った教材になっています。
至れり尽くせりなカンニングペーパーというか、アメリカ旅行のために最適化されたフレーズ集と言えるでしょう。
ただし、リスニングや発音そのもののトレーニングはありません。
ある程度以上のリスニング力、スピーキング力を持っていることが前提ということです。
CD音声も通常スピードなので、完全初心者だと、聞き取るところで、少しハードルの高さを感じるかもしれません。
このように、スピークナチュラルとHapa英会話は、はっきりコンセプトが異なっています。
学習内容の比較
実際の学習内容をより詳しく見て、比較してみましょう。
スピークナチュラルの学習内容
スピークナチュラルでは、「初対面の会話」「海外旅行での買い物」「海外旅行での食事」などの話題で、AさんとBさんの一問一答の会話(マイクロ会話)を練習します。
日本語
→英語(通常スピード)
→日本語
→英語(一語ずつ区切って)
→英語(一語ずつ区切って2回目)
→英語(通常スピード)
こんな順番で音声が流れるので、聞き取ったものを真似してリピート練習やシャドーイング練習をしていきます。
効果確認用に、瞬間通訳練習(日本文を聞いて英語文を言う)、会話練習(Aさんのセリフを聞いてBさんのセリフを言う)を途中途中で行います。
達成度確認用にテストCDというのがついていますが、その内容もテキストのマイクロ会話からの出題なので、結局マイクロ会話をひたすら練習することになります。
hapa英会話の学習内容
hapa英会話では、カフェ、レストランなどシーンごとにレッスンが設けられています。
それぞれのシーンで、
「Introduction」(会話の全体の流れを学ぶ)
→「Variation」(数種類の異なる会話パターンを学ぶ)
→「Useful knowledge」(単語、表現などを覚える)
→「Dialog」(会話を通しで練習する)
→「Review」(店員の言葉を聞き取り、客の言葉を言う)
→「Live Conversation」(別の会話例を学び、表現の幅を増やす)
という内容を実践していきます。
会話の全体の流れを把握したあと、細部を練習して覚えていくという感じです。
テキストには、メインレッスンのほかに、アメリカでの習慣や、ロサンジェルスで有名なお店など、雑学知識についても書かれています。
教材の使いやすさ
両教材の使いやすさ、クオリティ等について書きます。
スピークナチュラルの教材の使いやすさ
スピークナチュラルはテキストがA5サイズで小さく、持ち運びがしやすいので通勤通学中に使いやすいのが利点です。
ページ面の情報量もほどほどに抑えられており、読みやすいです。
下の写真がスピークナチュラルのテキストです。
教材の使い方はシンプルで、普段の練習はテキストを見ながらCDを聞いて、マイクロ会話の練習をします。
「超スローリスニング」メソッドにより初心者でも聴き取れるようになっているため、テキストを見れないときには、CDだけでも練習できます。
学習者がリピート練習するための空白時間が随所に十分に設けられているため、常に真似して口ずさむ練習ができます。
単語やフレーズの意味もテキスト中に説明されているので、自分で調べなくても学習に困ることはありません。
Hapa英会話の教材の使いやすさ
Hapa英会話も、基本的にはテキストを見ながらCDを聞いて練習するのですが、学習者がリピート練習するための空白時間が確保されているのはReviewパートのみです。
テキストがB5で大きい上に、けっこう情報量が多く、メインの英会話の練習とあまり関係のない豆知識も掲載されています。
読み物が多いことは、気分転換に使えたりする利点もあるのですが、あちこちに気が散ってしまうこともあるかもしれません。
CDで練習するとき読む部分と、CDの練習とは別に覚える部分をしっかり意識しておくことが必要かもしれません。
下の写真がHapa英会話のテキストです。
また、Hapa英会話はDVDがついていることが特長です。
DVDの内容は、実際の会話風景の動画であり、特に練習などを組み込んで編集されているわけではありません。
単純に見るか、自分で一時停止してフレーズを言ってみる練習をする等、使い方は学習者次第です。
取り組みやすさ、続けやすさ
両教材について、英語教材で重要な「取り組みやすさ」、「続けやすさ」の観点で考察します。
スピークナチュラルは取り組みやすいが少し単調
取り組みやすさについては、スピークナチュラルのほうが学習に取り組みやすいです。
スピークナチュラルはやることが決まっていて、ひたすら「マイクロ会話」の練習をして、ときどき瞬間通訳練習、会話練習で達成度確認をするだけです。
続けやすさについてですが、スピークナチュラルではマイクロ会話にはじまり、マイクロ会話に終わるのでHapa英会話に比べると単調です。
ただし、飽きてきたら、別の話題のレッスンに移ることはできます。
また私は使ったことがないのですが、スピークナチュラルでは電話サポートもついていて、マイクロ会話の練習をしてもらう以外にも学習方法の相談を受けてもらったりできるとのことなので、うまく使えば学習を継続するのに役立つのではないかと思います。
Hapa英会話は楽しく学習できるように工夫されている
Hapa英会話は、音声面での初心者対策がない点を除けば、初心者でも取り組みやすくなっている教材です。
どのレッスンから学習してもいいし、自分が行きたいところに関連するレッスンだけでもいいと考えれば、プレッシャーをあまり感じることもなく取り組めるでしょう。
続けやすさについても、Hapa英会話はいくつも利点があります。
例えば、「カフェ」「レストランで注文」「ホテルにチェックイン」など非常に具体的なシーンについて学習するので、学習ゴールが見えやすく、挫折しにくいと思います。
また、レッスンごとに「Introduction」「Dialog」「Useful knowledge」「Review」「Live Conversation」などたくさんの種類の練習パートがある分、単調になりにくいです。
さらに、DVDで実際の会話の風景が見れるので、だいたいの会話の流れをつかむとともに、何のために練習をしているのかを再確認することができます。
公式ページにあるとおり「DVDを見てモチベーションを上げることができる」という効果があるでしょう。
楽しく学習できることは英会話教材の重要なポイントであり、その点Hapa英会話は優れていると思います。
スピークナチュラルとHapa英会話の比較 まとめ
いずれも優れた教材ですが対象者も目標レベルももともと異なるので、自分の学習目的にあった方を選ぶのが大切です。
「スピークナチュラル」は完全初心者向けに「聞き取る、真似してしゃべる」ができるようになるための「基礎科目」教材。
これから英会話をしっかりやっていこうと思う人には、スピークナチュラルをおすすめします。
「Hapa英会話」はある程度リスニング、スピーキングのできる人がアメリカ旅行を万全にするための「専門科目」的な教材です。
アメリカ行き確定の人におすすめします。