イード・アワード2年連続受賞の高評価英語教材「スピークナチュラル(Speak Natural)」と、世界的知名度を誇る「七田式」英語教材「7+English(セブンプラスイングリッシュ)」を比較してみました。
どちらの英語教材も当ブログ管理者の私が購入し、中身をじっくり検証して比較しています。
公式サイトにない感想、独自情報も書いていますので教材購入を考えている人は読んでみてください。
※「スピークナチュラル」は、2016年にリニューアルされました。
本記事は旧商品についてのレビューになります。
新製品については、教材のコンセプト・メソッドは旧商品のままで、「スピークナチュラル スタンダード」と「スピークナチュラル 海外旅行」の2製品がラインナップされています。またレッスン構成の見直し等を行い、テキストやCDが全面的に刷新されているようです。
商品詳細については公式サイトでご確認ください。
まずこれらの英語教材の共通点から挙げていきます。
Contents
共通点
・どちらも、会話に特化した英語教材である
・「聞き流しでは話せるようにはならない。大量に話す練習が必要である」という考え方である
・CDを聞き、話す練習をするオーソドックスなスタイルの英語教材(動画視聴やライティングの学習はない)
・日本語を即座に英語に直す練習をする
英会話特化型という点では同じなのですが、英語学習に対する思想やメソッド構成はかなり異なっているので、以下に比較をしていきます。
各教材のコンセプト
■スピークナチュラルの教材コンセプト
・日本人は日本語を利用して英語を学ぶのが良い。日本語と結びついたイメージ、印象に英語をつなげていくということ。英語を英語で学ぶという考え方は捨てるべき。
・高速で聞くことには意味がない。ゆっくりの音声でしっかりと英語を聞き取り、真似をして話す練習をしてスピードを上げていくのがもっとも効率よい方法である。
・日本人は、ネイティブレベルではなく、世界のどこでも通じる「シンプル・イングリッシュ」を目指すべき。短い文でたくさん会話をしてコミュニケーションするほうがわかりやすく、伝わりやすい。
■7+Englishの教材コンセプト
・英語がしゃべれない人は、頭の中で文法的に正しい文を作って会話をしようとする。しかしネイティブが会話をしているとき、毎回毎回英作文をしてしゃべっているわけではなく、出来合いのフレーズで単語のみ入れ替えてポンポンと出しているだけである。
・そして日常会話でひんぱんに使われるフレーズは、調べてみるとたかだか60通りだと分かった。
・だからこのフレーズを丸暗記してしまえば会話ができるようになる。
もう少し両者のコンセプトの違いを補足すると、
スピークナチュラルでは、記憶よりも、まず英語を「聞き取る力」と「聞き取ったものを真似してしゃべる力」をつけることが優先という考え方です。
音声面のトレーニングで基礎をしっかり固めるということです。
それに対して、7+Englishでは、大量の英語フレーズをいかに効率よく記憶するか、が教材のメインテーマです。
ですのでリスニング力やスピーキング力(音読)はある程度こなせることが暗黙の前提となっています。
このような考え方の違いから、教材メソッドもだいぶ異なるものになっています。
以下に見ていきます。
各教材のメソッド
スピークナチュラルのメソッドは以下です。
・超スローリスニング。
・日本語→英語の順で練習する。
・7±2語以下のシンプル・イングリッシュ。
・マイクロ会話という単位で学習する。
・日本語音声も英語音声も同じ人(バイリンガル話者)が担当している
7+Englishの主なメソッドは以下です。
・高速右脳リスニング。通常の1.5倍速と3倍速の英語音声をリスニングし、右脳を活性化させるとともに、3倍速→1.5倍速で聞くことで英語がゆっくりに聞こえる「インターチェンジ効果」を利用する。
・ネイティブがよく使う実践的な英会話フレーズ60種類を覚える。
・人間の記憶力の特性を利用し、最適なタイミングで復習をすることで、学習した内容を長期記憶に定着させる。
スピークナチュラルは「聞き取る&真似して話すスキル習得」、7+Englishは「フレーズ記憶術」に重点をおいたメソッド構成になっています。
もっとも大きな違いは、高速リスニングかスローリスニングか、という点です。
7+Englishの高速リスニングは「七田式」教育として実績のあるメソッドですが、「記憶術」の一部としてはともかく、リスニング力アップに役立つかどうかはよく分からない部分もあります。「読む、聞く、話す」をトータルで学習する前提で構成されたメソッドと理解することが大切です。(「聞く」だけずっとやっていても意味が無いということ。)
個人的には、スピークナチュラル公式サイトにある「聞き取れないものを速く聞いても意味がない。また、聞き取れないものを繰り返し聞いていると雑音として認識するようになり、ますます聞き取れなくなる」という解説に説得力を感じています。
ですから、少なくともリスニング力に不安のある人にとっては、スピークナチュラルのほうが、英語力の基礎を構築するのに向いていると思います。
教材の対象者、目標レベル
■スピークナチュラルの対象者、目標レベル
「ネイティブレベル」や「ぺらぺら」を目指すのではなく、「こうすれば英会話ができるんだという実感が得られること」を目標にしています。
対象者は小学生からシニアまで幅広い年齢層に対応しています。
完全初心者もOKです。
■7+Englishの対象者、目標レベル
7+Englishでは特に目標レベルが書いてありませんが、日常会話レベルの英語をマスターする、という感じでしょう。
対象者については、初心者でも大丈夫とうたっています。
しかしテキスト中には文法用語や発音記号が使われているので、中学英語程度はそれなりに勉強した人を想定しているのかなと思います。
また前述のとおり、高速リスニングは、英会話初心者には、最初ちょっときついと感じるかもしれません。
教材の概要
■スピークナチュラルの教材一式
・テキスト1冊
・CD14枚
・電話レッスンサポート
■7+Englishの教材一式
・テキスト3冊
・CD6枚
・3年間回数無制限メールサポート特典付
・その他特典たくさん
学習内容
■スピークナチュラルの学習内容
スピークナチュラルは、「初対面の会話」「海外旅行(食事)」「海外旅行(買い物)」というような話題についてそれぞれ約40の「マイクロ会話」を練習します。
※マイクロ会話・・・下のように、AさんとBさんが1回ずつ話す会話単位。
A:How long have you been in Japan?
B:For about 2 years.
日本語→英語(通常)→日本語→英語(スロー)→英語(スロー)2回目→英語(通常)という音声が流れてくるので、聞き取り、リピーティング、シャドーイングをしていきます。
学習達成度チェックの目的で、日本語を聞いて英語に直す「瞬間英作文」と、Aさんのセリフを聴いてBさんのセリフを答える「会話練習」もあります。
また会話のバリエーションを広げるための「パターン演習」や、「テストCD」を使った実力確認テストもあります。
学習時間は一日約30分が目安です。
学習期間は、教材の標準スケジュールだと6ヶ月~9ヶ月ぐらいになります。(一つの話題に6週間。メインの話題4つ+サブの話題2つが収録されている)
■7+Englishの学習内容
7+Englishは、60パターン×10フレーズ=100個のフレーズを覚えます。
「フレーズ」とは、下の例でいう「I like to ~(~するのが好きです)」のような定型表現のことです。
I like to read.
I like to drink coffee.
I like to watch sports.
実際やることは、英語文をリスニングしたあと自分で繰り返して話す「Practice」パートと、日本語文を聞いて英語に直す「Check」パートのみです。
ただし前日までの学習内容の復習が「Check」パートに盛り込まれています。
一日に1パターン・10フレーズですが、特に話題や場面ごとにまとめられているわけではなく、フレーズはそれぞれ独立しています。
一日20分~30分、学習期間60日間です。
7+Englishは、60日で600フレーズ覚えるという明確な数値化目標がありますが、スピークナチュラルはあまり「記憶」に重点をおいていません。
「こうすれば英会話ができるんだ」という実感が得られるまで学習し続けるということです。
短期集中型の7+Englishと比べると、スピークナチュラルは長期間取り組むことになるので、気長に、しかし粘り強く、継続できるかが重要になります。
教材の使いやすさ、クオリティ
■スピークナチュラル
スピークナチュラルはテキストが小さくて(A5版)、持ち運びに便利です。
地味ですが、紙面の情報量も適度な感じで読みやすいです。
CDについては、ひとりのバイリンガル男性が英語も日本語も担当しているのが斬新です。やさしい感じの声で聞き取りやすいと個人的には思います。
また、音声のあとの空白時間も長めなので、初心者でもあおられ感をあまり感じることなく、余裕を持ってリピーティング練習ができます。
話題ごとにCDが分かれており、好きな話題を選んでCDをかけっぱなしにするだけで、復習も含めてレッスンを進められるようになっており、使い勝手はとても良いです。
■7+English
7+Englishの練習用テキストは、すっきりしていて見やすいのですが、サイズが大きくて(B5版)少し重いのが難点です。練習用のテキスト(英語フレーズと日本語訳だけが書かれている)と単語・発音解説テキストがせっかく別になっているので、練習用のテキストはコンパクトにしてもらえると良かったかもしれません。
CDについては、個人的に高速音声が苦手と感じる以外は、シンプルで無駄のない構成です。
全体にアップテンポで無駄がないので、悪く言うと急かされているというか、余裕がない感じですが、よく言えば効率よくリズミカルに学習を進められます。
(「自由に引き出すことのできる記憶」のための記憶術では、スピードも重要なファクターになります。)
また、CDの入れ替えは最小限で済むように教材が構成されているので、こちらも使い勝手は良いです。
取り組みやすさ、続けやすさ
■スピークナチュラル
自分のペースで無理せず続けることが大切、と教材テキストに書かれています。
スピークナチュラルは食事、買い物などある程度決まったシチュエーションの中での「マイクロ会話」という単位での学習なので、7+Englishよりは会話の場面設定がイメージしやすいですが、やはり単調になりがちです。
ただ、電話サポートで個人レッスンができるので、うまく利用すれば気分転換やモチベーション維持に役立ちそうです。
■7+English
一日分の学習量が決まっているので、それに従って学習すれば良いのですが、毎日そのペースを守らないと記憶術の効果が完全に発揮されないという面もあります。
60日で一気にやり切れる環境、モチベーションのある人向けです。
短期集中型の割には、なぜか3年間という長期間のサポートがついています。(長期サポートはもちろん学習者にとっては嬉しいですが。)
7+English以外のことでも質問できます。
7+Englishでは学習内容が単発フレーズなので、どういう場面での発言なのかイメージしにくいセンテンスがあったり、印象に残りにくいというデメリットがあります。そのため、単調と感じる人も多いかもしれません。ある程度の期間みっちりやってみて、早い段階で効果(達成感)が感じられるかどうかがカギとなりそうです。
まとめ。超初心者にはスピークナチュラルがおすすめ
スピークナチュラルと7+English。どちらの英語教材もコンセプトは明確で、学習内容もコンセプトに沿ってしっかりと練って作りあげられているのが感じられます。
が、ターゲットとなる英語スキルが異なります。
スピークナチュラルは、フレーズを覚える以前に、一語一句聞き取ることと真似してしゃべることを重視します。
超初心者でも基礎的なリスニング力を養成するところから取り組めて、しかもスピーキング力をつけることができる内容になっています。
7+Englishも含めて多くのフレーズ暗記型英会話教材において「リスニングができる事」が学習を始める前提となっている中、「リスニング力とは何か?」を見直しているスピークナチュラルはある意味、斬新と言えるでしょう。
また、マイクロ会話という単位で学習するので、自然な会話のキャッチボールをする基礎ができます。
7+Englishはリスニング、スピーキング(少なくとも音読)がある程度できる人向けの教材で、600個という大量フレーズを記憶するメソッドが売り。
フレーズを効率よく記憶する練習と、記憶したフレーズを瞬時に思い出す練習をひたすら積み重ねる、体育会系的というか筋トレ的、修行的な学習になっています。
特に初心者にとっては、高速で流れてくるフレーズをすぐリピーティングするというのは難しいと思うので、テキストを見ながらの音読を多めにやる必要があるかも知れません。
教材全体としては無駄なくシステマチックに出来ているので、実践重視、行動派の人には向いています。メールサポートや返金保障もあり学習者フォロー体制は万全でしょう。
仮に両方の教材をやるなら、「スピークナチュラル」→「7+English」の順番が自然です。
リスニングも含めて本当に会話の基礎からやりたい、初心者の自覚のある人は「スピークナチュラル」がいいでしょう。
ある程度リスニング、スピーキングが出来ていて、英語トレーニングに飢えている人には「7+English」がオススメです。