本記事では、TOEIC990点管理人が英会話教材「プライムイングリッシュ(PRIME ENGLISH)」の詳細レビューを書いています。
実際に教材を購入し、内容を確認した評価・感想です。
購入検討されている方の参考になればと思います。
プライムイングリッシュは、従来の教材よりも「発音」にフォーカスした英会話教材です。
特に、従来の教材ではせいぜい単語単位での「発音」を意識するにとどまっていたのに対して、プライムイングリッシュでは単語が集まってセンテンス(文)になったときの音のつながりのメカニズムを理解することで、「通じる英語」をマスターします。
全体に、目指すレベル高め・アウトプット量多めの本気教材に仕上がっています。
一方で、学習者が楽しく実践していけるように細かな配慮もされている優良教材です。
では「プライムイングリッシュ」、レビューをしていきます。
Contents
教材開発者は、「笑っていいとも!」出演経験のあるサマー・レインさん
◆Summer Rane(サマー・レイン)さん 紹介
1990年、アメリカシアトル生まれ。
2008年に来日し、2012年早稲田大学卒業。日本語はペラペラ!
現在は日本で英会話講師を務めながら、大学の教授を目指している。
「笑っていいとも!」の発音王コーナーに先生として出演した経験もある。
プライムイングリッシュ公式サイトより引用
教材の概要:オーソドックスなテキスト+CD
・販売者:株式会社ICE
・公式サイト:https://www.ice-english.com/pe/
教材を注文すると、2日後に届きました。
箱を空けると、書類の入ったA4クリアファイルと、紙で包まれた教材。
ちなみに注文直後に来る確認メールへの返信で領収書をお願いしたら、商品に同梱してくれました。
そして内容物一覧。
テキスト・CDのほか、上の写真右側の書類は「メールサポートについて」「特典のお知らせ」等の事務連絡と、「Prime English厳選フレーズ集」。
教材本編。
左から、黄色いテキストは学習の進め方を解説した「Introduction」。
白のテキスト3冊は学習期間の前半、青のテキストは後半使うもの。構成は同じです。
CDも前半6枚と後半6枚で色分け。
※上の写真ではCDを床に直接置いてますが、傷のつかない特殊CD等ではないのでご注意ください。
この時点での印象として、テキストは「スピークナチュラル」や「ネイティブイングリッシュ」の小型化路線を踏襲せず、比較的大きめのB5サイズを採用していることに気づきます。
そのかわり1ヶ月分ごとにテキストが分割されているのが特徴です。(「ヒアリングマラソン」等、アルク社の英語教材を思わせる)
また、学習期間6ヶ月に対してCD12枚は若干ボリューム少なめの印象ですが、大量反復型の英会話教材なので実は適度なボリュームです。
テキストは大きめ、使いやすい
◆ Introductionテキスト 1冊 23ページ。
- 学習ガイド
- 登場人物の紹介(物語形式の英語教材です)
- 音声変化表記、カタカナ表記、音声変化パターンについて
◆ 学習用テキスト 6冊 各35ページ。
- 1冊に4つのスキット(ひとまとまりの会話)収録。1つのスキットを1週間で学習
- 多色カラー印刷
学習用テキストは下のような感じ。
テキストを1か月分ずつに分割して1冊を薄くしたことで、ベタっと置いて手を離しても閉じないようになってます。練習を一時中断しても開き直さなくて済むのがメリットです。
CDの収録時間は短め
CDは12枚。
1枚の収録時間は41分~56分、平均47分。
1枚で2つのスキット(2週間分)を収録しているので、1週分は25分弱になりますが、教材の目標とするレベルに達するにはかなりの反復練習を要します(後で説明)。
ので1週間で25分で十分というわけではなく、学習時間はもっと必要と考えたほうがいいです。
CDは1ケースに6枚収納。盤面にイラストが入っていてちょっとおしゃれ。ロゴ、フォントも洗練されている感じです。
サポート/返金保証/その他特典
◆メールサポート
学習を進めるに当っての疑問点や相談にメールで答えてくれる。現時点では期間無制限。
ちなみに自分から相談をしなくても、教材購入後「プライムイングリッシュサポート」メールが来るようになります。
このメールは教材の実践をちゃんとフォローするメールになっているのが地味にすごいです。
たとえば下の写真では、学習者からのよくある質問に対して、教材開発側の見解を説明することで、学習者の悩みを軽減しています。
英語教材業界の慣習ではサポートと称して別商品の販促メールを頻繁に送ってくることが多いのですが、プライムイングリッシュではまともなサポートメールが来たので少し驚きました。
◆返金保証
商品到着後14日以内であれば全額返金可能。
14日という期間はとくべつ長くはありませんが、平日受け取ってその週末に中身を確認できなかったときでも、次の週末で何とかできそうですよね。
まあ良心的と言えるでしょう。
◆フレーズ作成サービス
「これを英語で言いたい!」というフレーズをネイティブが英語で作成してくれるサービス。
メールで依頼し、定期的にフレーズ集としてテキスト化&追加特典として配布。
◆発音動画講座・音声付例文集
購入者限定サイトで配信、定期的にコンテンツ更新。
学習内容の詳細
プライムイングリッシュでは、シェアハウスに住む個性あふれる6人が織り成す24の物語(スキット)を通して英会話を学びます。
登場人物は、人物像が設定されている上、ビジュアル的にもしっかりデザインされています。
下の写真参照(Introductionテキスト)。クセのある人物ばかりなのが面白いです。公式サイトにも「楽しく学習できる教材を作ることにこだわった」的なことが書かれています。
◆主要メソッド1 発音記号ではなく音声変化表記とカタカナ表記
単語のつながりがもたらす音声変化を表現するには「発音記号」は不向き。
そこでプライムイングリッシュでは、学校で習う発音記号ではなく、「発音表記」と「カタカナ表記」を使って発音を学びます。
「発音表記」とは、下の写真の”Can I"→"ku-nai"のように、英文のつづりよりも実際の読まれ方に近くなるようにローマ字的に表現されたものです。
日本人は"キャン アイ~?"と発音してしまいますが、ネイティブは”キャン”よりむしろ"クン"に近い発音をし、さらに"n"の音が次の"ア"とつながるために"クナイ"のようになります。
これが「音声変化」。
プライムイングリッシュの学習用テキストでは、音声変化の起こる要注意部分に発音表記が書かれているので、フレーズ練習で特にその箇所を意識しながら発音します。
テキストでは練習内容に合わせて、英文のみのページ(下の写真左)と、カタカナ表記付きページ(同じく右)とが用意されているので、「音声変化なんて分からないよ...」といった心配は不要です。
単語ごとの発音記号なら辞書で調べられますが、センテンスになってつながった音のカタカナ表記は調べる手段がありませんね。
しかしプライムイングリッシュでは、すべてのセンテンスにカタカナ表記が振られています。
なのでユーザーは発音を推測したり悩んだりする必要もなく、テキストのとおり真似て練習することだけに集中できます。
当たり前のようですが、こういったユーザーへの配慮が行き届いている教材は多くありません。(「これがないとユーザーが困るでしょ!」というものが欠けている英語教材が実際あります。)
私は多くの英語教材を持っていますが(数十万円分)、ユーザー目線の「使い勝手」に対する配慮に関しては、プライムイングリッシュは非常に優良な部類に入ります。
◆主要メソッド2 サンドウィッチリスニング
下のような手順を踏んだ独特なメソッドです。
- 音を経験する(スロースピードで聴き、音声変化の起きている箇所を確認する)
- 音を馴染ませる(聴いた音を自分で発音して馴染ませる)
- 音を定着させる(ナチュラルスピードで聴いて音を脳に定着させる)
なぜ「サンドウィッチ」と呼んでいるかというと、上記のとおり「聞く」と「聞く」の間に「話す」を挟んだトレーニングになっているからです。
「話す」を挟むことで、ナチュラルスピードリスニングの効果が飛躍的に高まるメソッドになっています。
◆主要メソッド3 3ステップスピーキング
下の3段階のトレーニングをすることで、自然と口から飛び出すようになるまでフレーズを染み込ませるメソッドです。
- 真似る(いわゆるリピーティング。英語を聞いて真似る)
- 試す(日本語から英語に直す)
- 実践する(「なりきりトーキング」と本教材で読んでいるが、一般的には「ロールプレイ」。AさんとBさんの会話で、CDがAさんのセリフを読み、学習者がBさんのセリフを返す。)
ネイティブ的な音声変化を再現した上でこれらをこなせるようになるまでには、相当の訓練を要します。教材中にも、
・・・簡単そうに見えますが、実際やってみるとかなり苦戦すると思います。
(Introductionテキストより)
と書かれています。
とはいえ相対的に実践しやすいトレーニングから段階を踏んでスキルを身に付けていく構成になっているので、「真似る」段階からしっかり反復すれば徐々に習得していけます。
ちなみに、プライムイングリッシュのナチュラルスピード音声は本当に速いです。
TOEICリスニングが約150語/分程度、プライムイングリッシュは約180語/分です。200語/分を超えるスキットもあります。
ネイティブ的な「音声変化」を再現するには、そのくらいのスピードを最初から意識する必要があるわけです。
プライムイングリッシュでは、上記のように一貫性をもって構築されたトレーニングメニューを実践することで、リスニング/スピーキングスキルを継続的に強化していくことができます。
根拠のよく分からない他教材メソッド(例:「リスニング○ワー」)とは異なり、ナチュラルスピードに到達するまでの道筋を具体的・現実的な手順レベルまで落とし込んだ教材といえるでしょう。
ナチュラルスピードはけっこうハードル高いな、というのが本音ですが、「こういう風にしゃべれたらかっこいいよな~」と素直に思えるのも事実です。
「かっこよくしゃべりたい」はいちばん大事なモチベーションですよね。
教材内容は以上になります。
・販売者:株式会社ICE
・公式サイト:https://www.ice-english.com/pe/
プライムイングリッシュの評価
プライムイングリッシュを当サイト独自視点で評価します。
◆明確な教材コンセプトはある?
→教材が目指すのは、英語を話せる・聞きとれるようになることです。
従来の学習では、音のつながりを重要視していないため、実戦レベルの発音・リスニング力が習得できないことが問題でした。
そこでこの教材では、隣接する単語間の音のつながりによる音声変化にフォーカスし、ネイティブの発音に近い形を最初から意識して学習することで、スピーキングとリスニングの両方を習得するコンセプトになっています。
加えて、ネイティブフレーズの中でも特に口語的な表現を中心に英会話を学ぶことで、英語を「話せる・聞き取れる」ようになるというものです。
◆学習対象者・学習期間・到達レベル等は明確になっている?
→ 学習開始時のレベル等の制限はありません。
標準的な学習期間は6ヶ月で、スケジュールが提示されています。
到達レベルも、TOEIC○○点、英検○○級といった数値はありませんが、
「6ヶ月後、あなたは英語が自然に話せる自分に驚愕しているはずです」
とのこと。
「英語が自然に話せる」の意味次第です。
◆学習に必要なものはすべてそろっている?
→学習に必要なものはテキストとCDで提供されています。
テキストには会話のスクリプト、日本語訳、発音表記(カタカナおよびフォニックスルールによる)、重要単語&フレーズの解説があります(下の写真参照)。
英会話トレーニングの教材なんだから、地味な調べものとかに時間とられたくないですよね?
プライムイングリッシュでは上のようにスキット理解に必要な知識がテキストに書かれているので、すぐにトレーニングに入れるのがメリットです。
◆教材の品質、使い勝手等は問題ない?
→カラー印刷されたテキストはきれいで品質も問題ありません。
サイズが大きめですが、プライムイングリッシュは自宅以外での学習をほぼ想定していないので(発声必須)、コンパクトにするメリットがあまりないかもしれません。
CD音質も問題ないです。練習メニューごとにトラックが分かれている等、使いやすさの点も問題なし。
◆教材の学習内容をムリなく実践できる?
→スロースピード音声を聞くところから出発してナチュラルスピード音声に到達するまで、地道にフレーズ発声練習をします(そうするしかありません)。
スロースピードで聴いたあと、すぐに真似をして同じように(つまり、音声変化を反映した発音で)話せるかというと、ハッキリいって難しいです。
ただし音声変化のパターンは無数にあるわけではないので、いったん要領がわかればトレーニングはだんだん快適になっていきます。
◆効果が出ると期待できる?
→CDの音声に近づくように発声&リスニングで確認、を続ければ必ず効果が出ると期待できます。
特にリスニングスキル向上効果が大きいです。
◆他の教材と比べたときに優れている点は?
→「音声変化への対応」「ネイティブフレーズ」「ストーリー形式」というメソッドを統合している点です。
例えば「超低速メソッド 英語発音トレーニング」という書籍教材は、発音を学ぶのに良い教材ではあるものの、練習用の例文が無意味な文なので取り組みやすさ・続けやすさに難があります。
一方、プライムイングリッシュでは実際の会話で使われる文を素材にしているので、音声面のスキルと同時に表現力も習得できてムダがありません。
また、ストーリー形式で学習できる上に、スキットごとにオチがあって面白いです。これも他の英語教材にはない長所です。「楽しさ」にかなりこだわった教材という点でもユニークです。
プライムイングリッシュの気になる点・残念な点
- カタカナ表記は、わかりやすいかというと微妙。発音記号を読める人にとってはカタカナは逆に混乱を招くかも。とはいえ教材のメインフィーチャーである「音声変化」は発音記号では表現できないため、教材の落しどころとしては妥当。
- 登場人物のクセが強すぎると感じる人もいるかも?
- 学習用テキストにはイラストがないのがちょっと残念。ストーリー物を題材にしているし、キャラデザインはされているのだから、1スキットに挿し絵を一つぐらい入れてくれても良かったのに、という程度ですが。
プライムイングリッシュを買わないほうがいい人
語彙・フレーズなど表現力よりも、発音・リスニングなど音声面に軸足を置きながら会話力も高めていく教材なので、声に出す練習が必須です。
声に出して練習する環境がない人は、環境の準備が先決になります。
総合評価・・・A+(特に優れている教材)
「スピークナチュラル・ネイティブイングリッシュといった優秀な教材がいまだ勢力を保っている状況で、この『プライム・イングリッシュ』はいったいどんな新ネタを出すつもりなんだ?(もしかして焼き直し?)」
と興味深く思っていましたが、購入してみて内容を知ると、
「なるほど!こういう教材は確かに今までなかったな」
と感じました。
◆教材コンセプトは一貫性があって良い
従来の教材・学習法では音声変化がほとんど意識されていなかったため、声を出して会話練習をしても伝わる英語にならないという問題がありました。
プライムイングリッシュではこの問題を解決するために、最初から音声変化を意識してリスニング・スピーキングの訓練をします。
ただし、「そもそも日常生活で発言されることのないセリフ」が素材だと的外れな練習になってしまうから、実際に使うネイティブフレーズを素材にします。
ということでプライムイングリッシュでは、単に「あれもこれもやる」ではなく、高い効果が期待できるトレーニングを体系的に組み合わせたメソッドになっているといえます。
◆ただ楽しいだけじゃない!ストーリー形式の隠れメリット
プライムイングリッシュでは、旅行英会話のようなお決まりの会話ではなく、シェアハウスに住む男女の会話というパーソナルかつインフォーマルな状況の会話を題材としているのもポイントです。
ネタバレするとまずいのであまり書けませんが、近年の社会情勢を意識して(?)、多様性を意識した人物設定・ストーリーになっており、その面でも実験的な英語教材であるといえるでしょう。
また、ストーリー形式の別の利点は、人物設定や背景が頭に入った状態で各レッスンを始められるので、すぐにスキットの本題部分に入れる点です。
小説を読むとき、冒頭付近はなかなかページが進まないのに、中盤以降猛スピードで読めてしまう場合がありますよね?
最初に時間がかかるのは、人物のイメージや物語の設定を頭に入れる負荷が大きいからですね。
一度頭の中でイメージが構築されれば、ストーリーを追いかけるだけなのでサクサク読めるわけです。
それと同じで、プライムイングリッシュは連続性のあるストーリーが素材なので、学習者はスキットごとにいちいち登場人物や背景設定を頭にインストールする負荷がなく楽しく学習に取り組むことができるわけです。
「英語ぺらぺら君中級編」も登場人物固定のストーリー形式ですが、プライムイングリッシュのほうが登場人物が多く多彩な会話が楽しめます。
◆リスニング力は確実に変わる
プライムイングリッシュでは、ネイティブ発音を最初から指向してトレーニングをするので、従来の教材では得られなかったスピーキング力・リスニング力が期待できます。
音声変化(音のつながり)を意識して発音&リスニングを繰り返すことで、英語の音に対する勘が鋭くなります。
私自身プライムイングリッシュを実践したことでかなり細かい音声変化に意識が向くようになりました。その意識付けがTOEICリスニング満点達成につながったことは間違いありません。