米大統領元通訳監修の英会話教材「英語ぺらぺら君中級編」と、ロサンゼルスの超人気英会話学校のメソッドを元にしたトラベル英会話教材「Hapa英会話」を比較してみました。
いずれの教材も、私が実際に購入し、実践してみてレビュー・比較しています。
公式サイトにない情報も書いていますので、購入を検討している方は参考にしていただけるとうれしいです。
共通点
後で書いているようにこの二つの教材はとても対照的といえる部分があるのですが、まずふたつの教材の共通点を考えてみます。
・文法用語を使わず、実践的な会話例を題材にして英会話を学ぶ
・現地でよく使う単語、表現を学ぶ
・英会話上達のためには話す練習が絶対必要(聞き流しではダメ)と明確に指針を打ち出している
こんなところかと思います。具体的な学習スタイルや教材内容はかなり異なるので共通点が少ないです。
教材の対象者、目標レベル
英語ぺらぺら君中級編では外国人の友人と日常会話をするのに困らない程度の会話力を身につけるのを目標とします。
教材対象者は特に限定されておらず、内容からすると初心者~中級者という感じです。
一方Hapa英会話は、海外でレストランの店員さんやホテルのスタッフとスムーズに会話でき、注文なり会計なり自分のしたいことができるようになるのが目標です。
教材対象者は、やはり限定されてはいませんが海外旅行で店員さんと話すのに不安がある人ということになります。
「友人」と話すのと、「店員さん、スタッフ」と話すのとでは会話の内容が異なります。友人との会話では、挨拶やマナーを守りながらも基本的にはランダムな会話になるでしょう。また「お客さん」として店員さんやスタッフと話す場合、だいたいの場合は注文する、お会計を頼む、など定型的な流れとフレーズがある会話になります(店員さんと雑談をするのは別のレベル)。
2教材の目標はまったく異なるので、次に説明するようにコンセプトやメソッドもかなり違ったものになっています。
教材コンセプト、メソッド
英語ぺらぺら君中級編では友人との日常会話レベルの英語力をつけるために、次のようなポイントを柱としています。
・日常よく使う単語を覚え、積極的に使う
・質問に答える「反応力」「反射神経」を鍛える
・文法を意識せず、パターンを認識して文を学ぶ
この教材のもっとも大きな特徴は上記の二つ目すなわち「反応力」「反射神経」に関係しますが、「クエッショニング」(質問に答える形式の訓練)という手法で学習する点です。
この訓練により、話しかけられて頭が真っ白になってしまうのを避け、ランダムなフリートークにも対応できる会話力をつけていきます。
一方、Hapa英会話では、「客」の立場で「店員さん」に自分の欲しいものやしてほしい事を伝えるのが目標なので、次のようなことがポイントになります。
・会話全体の流れを把握し、明確な役割(「客」「店員」)を意識したロールプレイで学ぶ
・自分が話すフレーズは英語で言えるように重点的に練習し、店員側のフレーズはほどほどに学ぶ(何を言っているか大体わかればOK)
・現地の人が使う単語、フレーズで学習する
Hapa英会話でいくつもの会話例や会話風景を収録したDVD動画が教材に含まれているのは、全体の流れの把握に重点を置いているからです。ざっくばらんにランダムな会話をするのでなくお決まりの流れがあるので、それを早く頭に入れてしまえば学習が効率的になるということです。
学習内容
英語ぺらぺら君は日本人男性のタカシ君がニューヨーク在住のエミリーと会う、という架空のストーリーを題材にして、会話の中に出てくる単語、フレーズも説明しながら、最終的にはフレーズを覚えるぐらいまで「クエッショニング」で練習します。
途中でメイン会話から脱線し、前回までの内容の復習をしたり、会話フレーズの言葉を少しずつ入れ替えて文構造を理解する練習をします。
Hapa英会話では、「カフェで注文」「レストランで注文」「レストランで会計」「ホテルにチェックイン」など特定の状況での会話ごとに学習していきます。
基本的な会話の流れを聞き、単語や表現などを一通り見て会話の練習をします。
「Review」というパートでは、模擬会話テストのようになっており、店員側のフレーズが聞き取れるか、及び自分の意図を英語に直すことができるか、を確認します。
また「Live Conversation」とDVD収録の録画で、実際のくだけた会話例を学びます。
教材ボリューム
英語ぺらぺら君はメインレッスンのCD15枚で、約30分×30日分です。
Hapa英会話はCD12枚※とDVDで、やはり1ヶ月ぐらいが学習の目安とされています。
※英語および日本語音声の収録されている「Japanese-English」CD6枚と、英語のみの「English Only」CD6枚です。
どちらの教材も、飽きずにやりきるにはちょうどいいくらいのボリュームと思います。
教材の使いやすさ、クオリティ
英語ぺらぺら君はテキスト不要、CDを順番に使っていけばいいだけなので使い勝手は抜群に良いです。学習ルーチンを自分で計画する必要もありません。復習も織り込み済みです。
テキストは一応ついていますがメインの会話の台本ぐらいしか載っていません。しかもA4サイズなので持ち運びも大変です。必要なら台本部分だけコピーして折りたたんで持ち運ぶか、特典でついてくる台本pdfファイルをスマホ等に入れるのが良いでしょう。
Hapa英会話はテキストがB5で大きいがレイアウトはきれいで見やすいです。テキストは情報量が多く、テキストだけ読んでいても得られるものがたくさんあります。
CDは、一つの話題のレッスンの中でも、練習項目ごとに別トラックになっているので好きなところから学習できます。もっとも実践的な練習である「Review」パートを重点的に練習したいなど、自分の目的に合わせて使えるでしょう。
英語音声および日本語音声の入っている「English-Japanese」CDと、英語のみの「English Only」CDが提供されているのでリスニングを鍛えたい方は「English Only」CDを重点的に聞くのもいいかもしれません。
Hapa英会話は全体的に、教材の使い方の自由度が高い反面、学習者任せな感じもあります。
取り組みやすさ、続けやすさ
どちらも取り組むのにストレスはありません。
あえて言うなら、英語ぺらぺら君のほうが何も考えずCDの誘導に乗って話すだけなので気楽に取り組めるでしょう。
時々、突然メインの会話から脱線して復習やパターン認識の練習が始まったりします。最初は戸惑うかもしれませんが、英会話の「反応力」を鍛えるためにそういう仕掛けにしていると理解すれば慣れてきます。そのまま「クエッショニング」していけば良いだけです。むしろ学習が単調にならず、飽きにくい、続けやすいというメリットがあるといえるでしょう。
Hapa英会話は、初心者向けに英文をスローで読んだりしないのでリスニングが苦手な人は少しつらいかもしれません。しかし教材では「店員側のフレーズは、すべてを聞き取れる必要はない」というスタンスなので、リスニングを完璧にすることにこだわらず、会話の練習に取り組めばいいと思います。
Hapa英会話では会話の流れの把握を重視しているため、一つの話題の中で同じような会話例を何度も聞くことになります(それぞれの練習にはしっかり目的があるのですが)。聞き流しているとそのうち何の練習をしているか分からなくなりがちなため、最初はテキストをしっかり追って学習したほうがいいかもしれません。
日本語→英語フレーズに直す練習をいかにたくさんできるかがこの教材を生かす鍵となります。
Hapa英会話は会話風景の動画DVDや、雑学コーナー(カリフォルニアの有名な飲食店、隠しメニューなど)があり、教材の何%かは、英会話というよりアメリカ旅行ガイドという感じになっています。英会話練習以外の要素を一切省いた「7+English」のような教材もありますが、Hapa英会話のようにお役立ち情報があると、旅行が好きな人にとっては楽しく学習が続けられて良いと思います。
いずれの教材も、メールサポートがないのですが、学習を楽しく続けられるように配慮していることは感じられるので、好感が持てます。
まとめ
「英語ぺらぺら君」と「Hapa英会話」では教材の目標がはっきり異なるので、どちらが優れているかという評価は難しいです。
いずれの教材も、コンセプトが明確であり、教材内容も納得できる優れた教材になっています。しっかり話す練習をすれば効果が出るだろうと思える教材内容です。
いずれかを買おうと考えている人は、自分の目的にあった教材であるかを確かめて決めるのが良いと思います。
旅行に行くことが決まっている人なら、「Hapa英会話」で学習して現地で使ってみるのがいいと思いますし、特に旅行予定などないが日本で英会話を練習したいなら、特定の話題やシチュエーションに限定されず応用できる「英語ぺらぺら君中級編」がおすすめです。