話題の英会話教材「Native English(ネイティブイングリッシュ)」を購入しました。
大好評だったらしい(私は持っていませんが)「Everyday English Phrases」を進化させた教材ということで、非常にていねいに作られている印象。
また、いろいろな英会話教材の優れた特徴・メソッドを吸収しているようです。
私が実際にNative Englishを購入・学習して感じたことをまとめましたので、気になっている方は参考に読んでみてください。
Contents
Native English 教材の概要
Native Englishの教材一式は、ゆうパックで送られてきます。
ネイティブイングリッシュは、注文フォームで受け取り日時を指定できました。別途メール等で日時指定する必要がなく、スムーズでした。
こんな箱です。
教材の中身は、下の写真のようになっています。
青系の色のテキスト1冊・CDケース3個が教材本編で、赤色のテキスト1冊・CDケース2個は特典の「ネイティブ・イングリッシュ・ビジネス」です。
この時点で感じたことは、テキストがとても小さい(けど厚い)ことです。
いままで購入した英会話教材中で、このネイティブイングリッシュのテキストは最小でした。
ちなみにネイティブイングリッシュのロゴはnativeの"n"やenglishの"e"が小文字ですが・・・ 本当の名前は大文字の「Native English」でいいのでしょうか。よくわかりませんね。
Native English (本編)
■テキスト
B6サイズ 黒・青印刷 192ページ 1冊
先ほども書いたとおり、テキストはとても小さいです。
持ち運びやすいし、電車・バスの中で開いても邪魔にならない大きさです。
テキストの中身は会話、フレーズが主で、記事(新聞など)、コラム(豆知識)などがたまにあります。
会話とフレーズはセットになっていて、見開きの左ページが会話、右ページがフレーズ説明になっています。
無駄にページをめくる必要がなく、使いやすいです。
フレーズ説明は単なる日本語訳だけではありません。
「○○の場合に使う」
「△△という言い方もある」
などニュアンスの理解を助けるための説明も多く記載されています。
■CD
「Listening」6枚
「Speaking」6枚
「ニュアンス解説」3枚
「英語(ナチュラルスピード)」3枚
それぞれの詳細内容は後述します。
特典「Native English Business」
■テキスト
B6サイズ 黒・赤印刷 31ページ 1冊
■CD
「Listening」2枚
「Speaking」1枚
「英語(ナチュラルスピード)」1枚
ビジネスシーンのネイティブ表現を学びます。
Day 1~Day 28までが用意されているので約1ヶ月分のボリュームとなります。
教材構成は教材本編と似ていますが、「Phrase」「Article」「Column」はなく、「Conversation」のみ。
想定シーンは以下のとおり。
WEEK 2:会社・業務説明と就職活動
WEEK 3:オフィス内でのやりとり
WEEK 4:プレゼンテーションや交渉
特典についてはここであまり深く触れませんが、いわゆるオフィスワーカー的な職種なら使うであろう一般的なビジネス会話を学ぶ感じです。
Native English 学習内容の詳細
学習は基本的にテキストなしでもできますが、テキストで英文、単語などが解説されているのでときどき参照しながら学習していく形です。
- 「Conversation」・・・男性と女性の会話。双方が5回ぐらいずつ発言するボリューム。
- 「Phrase」・・・Conversationで出てきたフレーズとそのバリエーションフレーズ
- 「Article」・・・新聞、雑誌の記事
- 「Column」・・・「海外で起こるトラブルとその回避方法」「チップの渡し方・目安」などの豆知識の読み物。
会話の話題(場面)としては、以下のような日常生活のとても広い範囲をカバーしています。
「自己紹介」
「電話」
「日本に関すること」
「ホテル」
「食事」
「飛行機」
「スポーツ観戦」
「病院」
「公共機関への連絡」
トレーニング目的に応じて4種のCDを使用
それぞれのCDでの学習内容は以下のとおり。
Listening CD
会話文やフレーズを聴くためのCDです。
→ 高速日本語
→ 普通スピード英語
→ 普通スピード日本語
の順番で再生されます。
「普通」スピードは、約80~120語/分(※当サイト独自測定)。
TOEICのリスニングが150語/分程度なので、「普通」といってもかなりゆっくりで、初心者に優しい速度です。
「高速」は「普通」の1.5倍とのこと。
Speaking CD
英文を話す練習をするためのCDです。
→ スロー英語
→ 普通スピード英語
の順で音声が流れます。
CDを聴きながら、「シャドーイング」を行うことでスピーキング力をつけていきます。
※シャドーイング・・・CD音声のすぐ後を追いかけるようにして復唱する練習。
個人的には、このSpeaking CDこそネイティブイングリッシュの最重要マテリアルと感じています。
Speaking CDを使ったスピーキング練習により、本教材から最大限の効果を得ることができるでしょう。詳しくは後述。
ニュアンス解説 CD
バイリンガルのDJ・マイケル・リーヴァスさんが、英会話に関する相談に答えるラジオ番組風のCDです。
私はラジオを聴く習慣がないのですが、「ラジオ番組っぽい」とすぐ分かるような雰囲気になっています。
(たぶん架空の)英語学習者からのさまざまな質問に答える形式をとってはいますが、あくまでテキストの話題内容やフレーズを軸に、英語フレーズのニュアンスや別の表現の仕方を雑談を交えながら解説します。
英会話教材として、とてもユニークです。
練習などはなく聴くだけのコンテンツですが、日本人が間違いやすい表現なども解説されている等、楽しいだけでなく実用的でポイントを押さえた内容にもなっています。
英語(ナチュラルスピード) CD
「Listening」や「Speaking」のCDでは日本語が入っていましたが、このCDは普通スピードの英語音声のみが収録されています。
テキストによると、このCDの用途は「リスニングの仕上げと、ディクテーション(英語音声を聞いて書き取る)」とのこと。
高速や低速の加工がされていない普通の音声なのでとても聴きやすいですが、音声の後の空白が短めなのでリピーティングするにはもう少し余裕が欲しいところです。
単に発音確認に使うだけならムダな時間がなく使い勝手が良いとも言えます。
CDの音質は文句なし。
本教材のCD音声はとても高音質で、ていねいに作られている印象を受けました。
CD音質の良し悪しも学習を続けるモチベーションに関わるので大切です。
英語教材の中にはCD音質やテキスト印字品質への考慮が足りない教材も案外あるものですが、そういった英語教材としての基本的なクオリティに関して、Native Englishは最高レベルと言えます。
CDを使った基本的な学習方法
教材推奨の学習方法は以下のとおり。
- 「Listening」CDをしっかり聴いて内容を把握する
- 「Speaking」CDでゆっくり確実に聴く&シャドーイング
- 「ニュアンス解説」CDで表現の幅を広げる
- 「英語(ナチュラルスピード)」CDでリスニング仕上げとディクテーション
- テキストで英文、フレーズを理解
英会話習得という目的からは、上記1と2に大半の時間をあてるのが基本です。
特にシャドーイングが重要。
よって自宅での学習が必須となります。
ただしこのNative Englishはテキストのフレーズ解説が非常に詳しく、充実しているので、CDを使えない環境でも5.のテキスト学習をすることで効率的に知識を確認し定着させることができます。
Native Englishの残念な点
「Listening」CDはちょっと微妙
テキストの学習法説明(p.8)には、
Listeningで耳から理解→Speakingで理解した内容をアウトプットするということを1日おきに繰り返すことで、着実なリスニング力・スピーキング力の向上が期待できます。
と書かれているのですが、あまり賛成できません。
「Listeningで耳から理解」とありますが聞き取れないものは何度リスニングしても聞き取れないので、「理解」するのは無理です。
「Listening」CDには「高速英語」「英語の後に日本語」などの仕掛けがあるのですが、いずれも英文を聞き取るための助けにはなりません。
けっきょく「Listening」CDは効用がよくわからないなぁ...というのが私の感想です。
一般論として教材から効果を得るには、まずテキストとCD音声をしっかり確認しながらスピーキング(音読、シャドーイング)練習をすること。
英文の単語、意味等を理解し、自分で声に出して練習することで、英文・フレーズを自分に内在化させます。
その後、リスニングをして、自分の中の「音」と、CDの「音」とを照らし合わせる、という手順で学習すれば確実に効果が上がります。
ただ、スピーキング練習後には意味が理解できているので、日本語をリスニングする必要はないんですよね。
やっぱり「Listening」CDの存在意義は微妙.....。
幸い、Native Englishには日本語を含まない「ナチュラルスピード」CDがついているので、リスニングだけなら「ナチュラルスピード」CDを使えばいいと思います。
CDの入れ替えが面倒と感じることもある
教材の推奨する「制作者お勧めコース」では「Listening」CDと「Speaking」CDを毎日交互に使う学習方法が提示されていますが、CDを入れ替えるのが少し面倒かなと感じます。
「Speaking」CDはスピーキング訓練に不可欠ですが、「Listening」CDは上述のように微妙なところがあるので、「Speaking」CDだけ使えばいいでしょう。
スピーキング訓練をしていればリスニング力は勝手に向上します。
「聴くだけで良い」という宣伝文句は誤解の元になりそう
「聴くだけでよい」教材という宣伝文句が、しょうもない聴き流し教材のような誤解を生むかもと思いました。
聴くだけでなくしっかりスピーキング練習もできる構成になっているし、テキストも充実の正当派教材です。
変な宣伝文句のせいで
「聞き流し教材の一派?」
と誤解されてはもったいないです。
Native Englishの良いと思った点
特定のシーンに限定せず、日常会話を広く網羅している
フレーズのニュアンスまで理解できるよう考慮されているので、事務的な受け答えだけでなく、「なんとなく」の気分を伝えたり、「やんわりと」誘いを断ったりといった気持ち・感情の表現も学ぶことができます。
好きな場面や優先的に学習したい場面を選んで学習できる
フレーズごとではなく話題(場面)ごとにまとめられているため、好きな場面や優先的に学習したい場面を選んで学習できます。
場面に関連づけて語彙やフレーズを学習できるので、バラバラに単語を覚えようとするよりも確実に定着すると期待できます。
ニュアンス解説CDは斬新
ニュアンス解説CDは従来の教材にない試みであり、楽しく聴けます。
メリハリのある解説をしてくれるので、同じフレーズでもテキストで学習するよりこのCDで聴いたほうが印象に残りやすいと感じます。
トークもテンポがよくさわやかな感じで聴きやすいです。
テキストのフレーズ解説が充実している
テキストにニュアンスの違いや、TPOに適した表現などの説明がある点が優れています。
テキストはコンパクトなB6サイズでカバンに出し入れするときも引っかからないので、スキマ時間にサッと出してニュアンス解説を読んだりとか使い勝手が良いです。
Native Englishの評価
1.教材コンセプトは明確か?そしてそれに見合った内容になっているか?
評価:◎
他の教材では「クエッショニングで反応力を強化」とか「超スローリスニングで聞き取る」とかコアとなるユニークなメソッドがありますが、Native Englishでは色々なメソッドを組み合わせている感じです。
よく言えば高いレベルでバランスが取れている正統派教材、悪く言えば最大の特長というのが少し見えにくいかなと思います。
この教材の最大の特長は、「英語ニュアンスについての細部まで行き届いた解説」と「頻出ネイティブフレーズ会話集」の融合であり、生きたネイティブ表現で英語を学ぶというコンセプトがしっかりと具現化されている点です。
さらに、上述のとおり「Speaking」CDと「ナチュラルスピード」CDを使った音声面のトレーニングにより、スピーキングとリスニング両方のスキルを効果的に向上させられるようになっています。
本来「シャドーイング」は、初心者にはかなりハードルの高いメソッドです。
しかし、ネイティブイングリッシュのSpeaking CDでは、スロースピードの音声が収録されているので、初心者でもシャドーイングに取り組みやすくなっています。
ていねいにシャドーイングをすれば、「ナチュラルなネイティブ表現」と「ネイティブ発音を聞き取る英語耳」を獲得することができます。
これは従来の教材では実現されていなかった、ネイティブイングリッシュの強みです。
2.教材は使いやすいか?テキストやCDのクオリティや使いやすさは十分か?
評価:○
「Speaking」CDには英語音声のあと空白時間があるのですが、短めです。
「シャドーイング」する分には良いのですが、「リピーティング」もしやすいようにもう少し空白時間に余裕があると良かったかもしれません。
それ以外の面では、あまり問題を感じません。CDの音質はとても良いし、携行しやすく読みやすいテキストは秀逸です。
3.アウトプット(話す)量は十分か?
評価:○
これは学習者次第になります。
「Speaking」CDを使ってしっかり話す練習をすれば良いのですが、教材に「聴くだけでよい」などとうたっているのを真に受けると[聞き流し教材]になってしまいます。聞くだけでなく音読、リピーティング/シャドーイング、書き取り、日本文からの口頭英作文など、アウトプットトレーニングが必要です。
教材としては必要な素材がそろっているので、学習者側の取り組み方次第です。
4.最後まで続けられるか?サポートはあるか?
評価:○
サポートは以下の通りとても充実しています。
- メールサポートは回数無制限(2年間)
- メルマガ配信
- CD、テキストの5年間保障 ※送料、手数料は購入者負担
サポート体制の面でも、英語教材の中で最高レベルと言えます。
ただ最後まで続けやすい教材かというと、やはり学習者次第です。
学習ボリュームが多いため(制作者お勧めコースの学習期間は「168日」とかなり長い)、気長に続けるのがよさそうです。
我慢して無理やり丸暗記するのではなく、フレーズを身につけて会話力が上がるのを楽しみながら学習していくという気持ちを持ったほうがいいでしょう。
もともと英語自体が好きな人向けの教材という感じです。
5.価格の妥当性はあるか?一般書籍に比べて優位性はあるか?
評価:○
価格は特別安くはないですが、教材ボリューム・コンテンツは豊富で高品質、サポートも充実、ニュアンス解説という新企画、と至れり尽くせりな内容なので理不尽に高価とも感じません。
スロースピードのCDなど初心者でも取り組める配慮をするとともに、最初からネイティブフレーズで英語を学べるように工夫されている点は優れています。
6.英文クオリティは担保されているか?
評価:◎
ネイティブイングリッシュ開発の中心人物YOSHIさんは本教材の前身教材「Everyday English Phrases」の開発者であり、英語学習・教材については実績とノウハウがあります。
また、教材制作にはネイティブやバイリンガルが参加しているとのことです(公式ページより)。
さらに本教材は、NHKラジオ「基礎英語」の講師を勤めたこともある安部一英語総合研究所所長・安部一氏が監修しているので、クオリティは信頼できるでしょう。
Native Englishが向いていない人
- 最小限の努力、最短の期間で必要最小限の会話力だけ身につけたい人。
- 楽をして英会話を身につけられる魔法の教材だと思っている人。
- 「聴くだけでOK」という言葉を真に受けてしまう人。
Native Englishが向いている人
- シーンに合わせた自然な表現を身につけたい人。
- 自分で学習方法をカスタマイズするのが好きな人。
- 英語が好きで、気長に取り組める人。
総評評価・・・A(優れている教材)
「英語をやり直したいけど、使えない表現をわざわざ勉強したくない。どうせやり直すならネイティブに伝わる表現を身につけたい」
「単発フレーズ教材を持っているけど、どんな場面で使うフレーズなのかイメージできなくて、挫折した......」
そんな人には、「Native English」が向いています。
学校教育では、文法の理解に重点を置くため、「実際に話されることのないセンテンス」ばかり学んでいるのが事実です。
文法的に正しい文を作ることができても、実用的な会話力はまた別のものです。
実は日常言語のかなりの部分が決まり文句で構成されている、という研究もあります。
第二言語(英語)のデータベースを増やし、自然な表現を身につけるために、特に母語と第二言語の距離が遠い(※)場合は、よく使う表現や、例文、ダイアローグなどを暗記することが効果的でしょう。
「外国語学習の科学」白井恭弘著(岩波新書) 太字は当サイトによる
※日本語と英語は極めて距離の遠い言語と言われています。
ネイティブイングリッシュはまさに上記のとおり「よく使う表現や、例文、ダイアローグを暗記する」教材です。
初心者でも、実際に使われる生きた英語の感覚を身に付けながら英会話を学べるようになっています。
具体的には、様々なシーンごとに用意された会話例を通して、シーンと会話の流れにふさわしい語彙、フレーズ、表現を覚えていきます。
特にネイティブイングリッシュでは、テキストと「ニュアンス解説CD」でフレーズの微妙なニュアンス、使い分けが学べるので、シーンをイメージしながら会話練習をしていけば、シーンと文脈にふさわしい英語表現を選ぶ感覚が養われていきます。
音声面のトレーニングをしっかり実践できるように、複数パターンのCDが付属しているのも特色です。
特に「Speaking」CDには非常にスローな速度で会話が収録されているので、初心者でもシャドーイングに取り組みやすくなっています。
ていねいにシャドーイングをすることで、日本人的なカタカナ発音から脱却し、英語らしい発音を習得できます。
シャドーイングはリスニング向上効果が絶大なので、
Speaking CDでのシャドーイング
→ ナチュラルスピードCDでのリスニング
というサイクルを繰り返していけば、「話す」スキルと「聴く」スキルを相乗的に強化していくことができます。
そして慣れてきたらナチュラルスピードCDでシャドーイングをする、という風に練習ハードルを高めることで、さらにスキルを磨き上げることも可能です。
「初心者レベルから取り組みたいけど、誰も使わないような英文を話す/聴く練習は苦痛。最初から、実際に使われる自然な表現で英会話を学びたい。」
そんな人には、Native Englishをおすすめします。
公式サイト→ 英会話教材【ネイティブイングリッシュ】