この記事では、英語学習雑誌「ENGLISH JOURNAL(イングリッシュジャーナル)」のレビューを書いています。
アルクの有名英語教材(通信講座)「1000時間ヒアリングマラソン」を受講すると、ヒアリングマラソン自体のメイン教材と一緒に、イングリッシュジャーナルが送られてきます。(ヒアリングマラソンの副教材という位置づけになっています。)
イングリッシュジャーナルは単体で売っているのでヒアリングマラソンに抱き合わせなくてもいいような気がするのですが(必要な人は自分の判断で買えば良い)、まぁそれは置いといて、ヒアリングマラソンの副教材イングリッシュジャーナルの内容を紹介します。
今回は2018年2月号をレビュー対象としました。
Contents
教材の概要
イングリッシュジャーナル基本情報
[normal_box color="blue" border="b3"]中~上級者向け英語学習教材(雑誌)
1000時間ヒアリングマラソンの副教材だが、単体でも販売。
リスニングがメイン、一部スピーキング練習もあり。
制作:株式会社アルク
単体の価格は1,512円。
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◆テキスト
B5サイズ、156ページ。
巻頭はカラー。
◆CD
1枚付属、74トラック。
◆スマホアプリ用音声ファイル
アルク教材の専用アプリ「ALCO」で再生できる音声ファイルをダウンロード可能。
CDの全トラックが提供されています。
学習内容の詳細
イングリッシュジャーナルは、映画、音楽などエンターテインメント業界の人のインタビューや、世界の政治・経済ニュースを中心に、多様なジャンルの「生の英語」を多聴する教材です。
教科書的な素材から離れて、現実に存在している著名人の言葉や、報道されているニュースを聞くことで実践的な英語を学びます。
英語教材としてどう使うかというともちろんリスニングがメインになるわけですが、このイングリッシュジャーナルでは、理解度・定着度を深めるために(聞き流しにならないために)以下のような学習課題が用意されています。
◆内容理解クイズ
聴いた内容をどれだけ理解しているかを確認するものです。
聴いた内容とあっている説明にはT(True)、違っている説明にはF(False)を書き入れます。
◆ディクテーション
音声を聴き、聴き取った文を書き取ります。
◆シャドーイング
英文を聴きながら、1~2語遅れてリピートします。
最初は英文を見ながら、慣れてきたら英文を見ず音声を聴いて繰り返します。
以下、どんな記事が教材に含まれているか、主なものを見ていきます。
読み物も多いですが教材としての機能はないので割愛します。
※下の内容は2018年2月号のものです。
[memo_h4 style="1" color="blue"]英語でYOGA for hOMe[/memo_h4]
英語のインストラクションを聴きながらヨガをするコーナー。ところどころサンスクリット語?が入ります。
(3分35秒、267 words)
[memo_h4 style="1" color="blue"]特集 世界のニュースで大激論[/memo_h4]
カリフォルニア(2人)、イギリス、オーストラリア出身の4人が、事前に「賛成」「反対」の立場を決めてディスカッションをします。
話題は次の6つ。
- フランス大統領にマクロン氏就任
- プレミアムフライデー始まる
- アリアナ・グランデ、テロ直後に慈善公演
- ドゥテルテ大統領(フィリピン)、「麻薬戦争続ける」
- 人工知能がプロ棋士に勝利
- 北挑戦核実験、トランプ政権の対応は?
[memo_h4 style="1" color="blue"]EJ Interview 1 エリック・クラプトン[/memo_h4]
ギタリスト、エリック・クラプトンのインタビュー。自身の人生をまとめたドキュメンタリー映画、アルコール依存症感動したギタリスト、引退について、などが語られています。
[memo_h4 style="1" color="blue"]EJ Interview 2 ジェロム・リード[/memo_h4]
ロサンゼルス生まれのアメリカ人で、日本酒に魅了され、現在新潟の酒蔵で働いているジェローム・リード氏。日本酒との出会い、日本酒の魅力、日本・西洋の文化と酒、若者の日本酒離れなどについて語られています。
[memo_h4 style="1" color="blue"]Quick Chat[/memo_h4]
イギリス出身、声優・ナレーターなどで活躍中のマイケル・リース氏がゲストを迎えて気ままなおしゃべりをするコーナー。今回のゲストはカナダ出身で1991年から日本で編集者、声優等をしているケリー・ハーバルドスルードさん。話題は、バレンタインデーに関連して、日本とカナダの習慣等についてです。
[memo_h4 style="1" color="blue"]World News[/memo_h4]
海外メディアの注目ニュースを聞くコーナー。
News 1:スペイン政府、カタルーニャを直接統治へ
News 2:大物プロデューサー、セクハラ疑惑発覚
News 3:オーストリアで31歳の首相誕生へ
[memo_h4 style="1" color="blue"]Documentary[/memo_h4]
フランスの通信社AFPのアーカイブからドキュメンタリーを選んで紹介するコーナー。
今回は”Safe Howse for Afghan Women”、アフガニスタン女性のための保護施設のリポート。
[memo_h4 style="1" color="blue"]Mystery Speaker[/memo_h4]
ある「モノ」の自己紹介を聞いて、「モノ」とは何か考え、クイズに応募するコーナー。
全問正解者の中から抽選で賞品がもらえます。
ということで、他にもたくさんコンテンツがあるのですが、じっくり学習する対象としては上記のものを挙げました。
エンターテインメント(今回ならクラプトン)な話題、シリアスな話題(アフガンの女性保護施設)、日常的な話題(バレンタインの話)など、幅広い分野から素材を集めているのが分かると思います。自分の興味のある分野の話題を楽しんで勉強できるのはもちろんですが、自分の興味のない分野のものを学習することで知識が広がる利点がありますね。
現実には、関心の薄いものは学習が後回しになるかもしれませんが・・・そこは学習者次第ということで。
イングリッシュジャーナルの気になる点、イマイチな点
・ボリュームが多い、多すぎる
そもそもすべてのコンテンツを十分に反復学習するのは時間的にムリがあるし、教材内容を取りこぼさずにすべて消化しようとしても不可能に近いです。
・広告が掲載されている
雑誌という流通形態だから仕方ないかもしれませんが、他の英語教材では本体テキストに広告が掲載されているのを見たことがないので、ちょっと気になりますね。
総評
通常の教材ならここに評価AとかBとか書くのですが、この記事は、ヒアリングマラソンの副教材としてのイングリッシュジャーナルの内容を紹介する趣旨なので、イングリッシュジャーナル自体には格付けをしないことにします。
さて、ヒアリングマラソン本体のほうと比べると、この「イングリッシュジャーナル」はアウトプット的な部分が少なく、ほんとにひたすらリスニングの教材になっています。
ディクテーションやシャドーイングのコーナーがありますが、そういうのは本来音声素材とスクリプトさえあればできるので、教材独自の付加価値はあまりないですね。
イングリッシュジャーナルの優れている点
まずは
- 多種多様なジャンルから素材が選ばれているのでボキャブラリーが広がること
- いろんな地域の話者の英語が聴けるので実戦的リスニング力がつくこと
- リアルな英語を学んでいるという満足感があること
などでしょう。
さらにしっかり勉強したい人にとっては、以下の特長があります。
- インタビューやニュースの高品質な和訳が載っていること。例えば今回のエリック・クラプトンなどアーティストのインタビュー自体は海外の音楽雑誌でも読めるわけですが、信頼できる和訳付きで読めるのはイングリッシュジャーナルのアドバンテージですね。
- お役立ち表現(Key Phrases)として、インタビューの中で出てきた表現・語法の解説があること。
- 巻末に、重要単語ピックアップのコーナーがあること。各単語のSVLが記載されており、掲載ページも書かれているので、知っておくべき単語がどういう使われ方をしているかすぐにチェックできます。
※SVL:アルク独自調査によって決められた、単語の有用性と使用頻度を表すレベル。数字が小さいほど有用度・使用頻度が高い、すなわち覚えておくべき単語であることを表します。
完全主義を捨てて取り組むことをおすすめします
通常の英会話教材であれば、反復とアウトプットで教材内容をしっかり習得することが目的になりますが、このイングリッシュジャーナルでは、「覚える」ことではなく、「経験する」ことを目的というふうに考えれば良いかと思います。
上にも書きましたが、すべての内容を消化吸収しようとしても挫折すると思うので、「常にリアルタイムで本場の英語に触れ続ける」ための教材と位置づけるのが良いでしょう。
TOEICにどっぷり漬かりすぎてボキャブラリーの守備範囲が偏っているのが気になる人なども、本教材で雑多な語彙を学ぶのが良いことだと思いますね。
以上、「1000時間ヒアリングマラソン」の副教材・イングリッシュジャーナルのレビューでした。